白雪姫。 白雪姫 (1937年の映画)

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白雪姫

昔、ある城に白雪姫という美しい王女が住んでいました。 白雪姫の継母である女王は恐ろしい魔女で、白雪姫を下働きのように扱っていました。 女王が魔法の鏡に「世界で一番美しいのは誰?」と聞くと鏡は答えます。 『世界で一番美しいのは白雪姫です。 』 怒った女王は手下の狩人に白雪姫を殺して心臓を持ち帰るように命令します。 哀れに思った狩人は白雪姫を逃がし、豚の心臓を持ち帰ります。 白雪姫は七人の小人と出会い、家事を引き受ける代わりに家に住まわせてもらうことになり楽しい時間を過ごします。 ところが、魔女に変身した女王に毒リンゴを食べさせられ、眠らされてしまいます。 ディズニー映画の白雪姫は、王子様と幸せになり、女王にも天罰がくだり、みんながハッピーエンドなお話になっています。 白雪姫の原作:内容&ストーリー 次に白雪姫の原作のあらすじ・内容・ストーリーをご紹介していきます。 かわりの女王様は美しい人でしたが、うぬぼれが強く、わがままで、自分より美しいひとがいるのが我慢できませんでした。 女王様は不思議な鏡を持っていて、鏡にたずねます。 「鏡よ、鏡、この世で一番美しいのは誰?」 このセリフは皆さんきっと聞いたことがあると思います。 「女王様、あなたが一番美しい」 この鏡は嘘を言わないので、女王様は安心していました。 しかし、白雪姫が7歳になると、「女王様、ここではあなたが一番美しい、でも白雪姫は千倍美しい」というようになります。 千倍美しいって、どれだけ白雪姫は美人だったのでしょうか。 筆者は気になります 笑 女王様は白雪姫をいじめるようになります。 女の嫉妬は怖いですね。 さすがに三度目なので警戒していた白雪姫。 しかし、リンゴがあまりにもおいしそうで、百姓の姿をした女王が半分食べたので、安心して、そのリンゴを食べてしまいます。 ところが白雪姫が食べた半分にだけ、毒が仕込まれており、白雪姫は死んでしまいます。 帰宅した小人たちも、白雪姫を生き返らせることができませんでした。 ここでやっと有名な毒リンゴが登場します。 ディズニーの映画では、毒リンゴだけでした。 しかし、原作では、しめひもと毒のくしを持った女王さまが2回も来ているんですね。 女王様の執念、すさまじいです。 ところが、原作の王女様はなんと3回も殺しにやってきます。 1回目がしめひも、2回目が毒のくし、3回目の訪問でやっと有名な毒リンゴが登場します! 王女様は、しめひも、毒のくしで殺しにきますが、チョイスが渋いです。 原作では、棺を持った家来がつまいずいた拍子に、白雪姫の喉から毒リンゴが飛び出て目を覚まします。 グリム兄弟が書いた初版本や、それより前に書かれたエーレンベルク稿でも目覚め方が違います! 初版本より以前に書かれたエーレンベルク稿では、国王が棺を持ち帰り、綱を張り、呪文をとなえて白雪姫は生き返っています。 初版本では、いつも棺を持たされて腹を立てた家来が白雪姫の背中を蹴り、毒リンゴが飛び出し、目を覚まします! 白雪姫の目覚め方も原作と映画ではかなり違いますね。 愛する人のキスで目覚めるというロマンチックな展開は原作にはありません! 呪文で目覚めるというパターンもあり、びっくりですね。 家来に蹴られて目を覚ますというびっくりな展開もあります。 しかし、グリム童話より前に書かれたエーレンベルク稿や初版本では、少し違います! エーレンベルク稿や初版本では、その正体は実の母親なのです。 白雪姫は実のお母さんに殺され、実のお母さんが焼けた鉄の靴を履かされ、死ぬまで踊らされたということになります! 実のお母さんと考えて読むと相当恐ろしいですね! 最初に白雪姫を殺そうとした時もエーレンベルク稿では実のお母さんが白雪姫を森に置き去りにし、動物に食べさせようとしています。 初版本では、家来に白雪姫を殺して内臓を持ち帰るように命じています。 家来が持ち帰ったのは豚の内臓でしたが、白雪姫だと思い込んだ王女は臓器を塩茹でにして食べているのです。 娘の臓器を塩茹でにして食べる実の母親。 残酷すぎますね。 現代のグリム童話でも、内臓を食べるバージョンは残っています。 ディズニー映画は、まま母の最期もあまり残酷描写はありません。 まま母の最期もいくつかのパターンがあることをご存知でしょうか? こんな結末の白雪姫もあるそうです。 (1)白雪姫がまだ生きていることを知り、発狂して狂い死ぬ (2)癇癪をおこして、鏡を割り破片が刺さって死ぬ (3)結婚式を見に行き、白雪姫の姿をみてショックで死ぬ 原作の継母の死に方は、焼けた鉄の靴を履かされ、踊らされるという残酷な最期です。 しかし、ディズニー映画では、追い詰められ崖から転落し、死ぬという最期です。 継母の死に方も、ディズニー映画だと残酷描写がおさえられていますね。 そして、王子様とのキスで毒の魔法が解け、二人は再会を果たします。 原作をみてみましょう。 原作では、王子様は棺に入った美しい白雪姫をみて棺を売ってほしいと小人たちに言います。 小人たちはこれを拒みますが、あまりにも熱心な王子様がかわいそうになり、棺を譲ります。 そして、棺をもった家来がつまずいた拍子に、白雪姫の口から毒リンゴが飛び出し、目を覚まします。 ここで王子様とのまさかの初対面をはたします。 ディズニー映画では、王子様と白雪姫の出会いがあり、白雪姫は王子様のキスで目を覚まします。 とってもロマンチックな展開ですね。 しかし、原作では棺に入った白雪姫の死体を譲ってほしいという王子様…。 ちょっとヤバい人なのでしょうか。 そして、その王子様と結婚までしてしまう白雪姫。 初版本では、王子様は持ち帰った棺をずっと眺めていたと書かれています。 また棺から離れなければいけないときは、白雪姫を見られないことに悲しみ、食事ものどを通らない状態であったとも書かれています。 王子様は死体愛好家なのかなんて説もあります。 初版本に登場する王子様は、私たちのイメージの王子様とはかけ離れていますね。 夢と希望を与えるディズニー映画なので、原作の王子様の描写はでてきません。 王子様を原作通りに描くと、さすがに小さい子供が読めない話になってしまいます。 しめひもで首を絞められたときは、小人が紐を切ったことで、息を吹き返しました。 毒のくしが刺さった時には、小人が毒のくしを抜いたことにより、助かっています。 原作の白雪姫は少しおバカなのでしょうか。 小人に忠告されていたにもかかわらず、何度も死にそうになっています。 ディズニー映画の白雪姫は、もう少し頭がいいように感じます。 まとめ いかがでしたか。 ディズニー映画と白雪姫の原作の違いをまとめてみました。 原作にはディズニー映画にはない残酷さがたくさんあります! 原作を読んでみることで、新たな視点で白雪姫を楽しむことができるかもしれませんよ。 ディズニー映画なら「Disney+(ディズニープラス)」.

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白雪姫

むかしむかし、冬のさなかのことでした。 雪が、鳥の羽のように、ヒラヒラと天からふっていましたときに、ひとりの 女王 ( じょおう )さまが、 こくたんのわくのはまった 窓 ( まど )のところにすわって、ぬいものをしておいでになりました。 女王さまは、ぬいものをしながら、雪をながめておいでになりましたが、チクリとゆびを 針 ( はり )でおさしになりました。 すると、雪のつもった中に、ポタポタポタと三 滴 ( てき )の 血 ( ち )がおちました。 まっ白い雪の中で、そのまっ赤な 血 ( ち )の色が、たいへんきれいに見えたものですから、女王さまはひとりで、こんなことをお考えになりました。 「どうかして、わたしは、雪のようにからだが白く、血のように赤いうつくしいほっぺたをもち、この こくたんのわくのように黒い 髪 ( かみ )をした子がほしいものだ。 それから、すこしたちまして、女王さまは、ひとりのお 姫 ( ひめ )さまをおうみになりましたが、そのお姫さまは色が雪のように白く、ほおは血のように赤く、髪の毛は こくたんのように黒くつやがありました。 それで、名も 白雪姫 ( しらゆきひめ )とおつけになりました。 けれども、女王さまは、このお姫さまがおうまれになりますと、すぐおなくなりになりました。 一年以上たちますと、王さまはあとがわりの女王さまをおもらいになりました。 その女王さまはうつくしいかたでしたが、たいへんうぬぼれが強く、わがままなかたで、じぶんよりもほかの人がすこしでもうつくしいと、じっとしてはいられないかたでありました。 ところが、この女王さまは、まえから一つのふしぎな 鏡 ( かがみ )を持っておいでになりました。 その鏡をごらんになるときは、いつでも、こうおっしゃるのでした。 「 女王 ( じょおう )さま、ここでは、あなたがいちばんうつくしい。 けれども、 白雪姫 ( しらゆきひめ )は、千ばいもうつくしい。 」 女王さまは、このことをおききになると、びっくりして、ねたましくなって、顔色を黄いろくしたり、青くしたりなさいました。 さて、それからというものは、女王さまは、白雪姫をごらんになるたびごとに、ひどくいじめるようになりました。 そして、ねたみと、こうまんとが、野原の草がいっぱいはびこるように、女王さまの、心の中にだんだんとはびこってきましたので、いまでは夜もひるも、もうじっとしてはいられなくなりました。 そこで、女王さまは、ひとりのかりうどをじぶんのところにおよびになって、こういいつけられました。 「あの子を、森の中につれていっておくれ。 わたしは、もうあの子を、二どと見たくないんだから。 だが、おまえはあの子をころして、そのしょうこに、あの子の 血 ( ち )を、このハンケチにつけてこなければなりません。 」 かりうどは、そのおおせにしたがって、 白雪姫 ( しらゆきひめ )を森の中へつれていきました。 かりうどが、 狩 ( か )りにつかう 刀 ( かたな )をぬいて、なにも知らない白雪姫の 胸 ( むね )をつきさそうとしますと、お姫さまは泣いて、おっしゃいました。 「ああ、かりうどさん、わたしを助けてちょうだい。 そのかわり、わたしは森のおくの方にはいっていって、もう家にはけっしてかえらないから。 」 これをきくと、かりうども、お姫さまがあまりにうつくしかったので、かわいそうになってしまって、 「じゃあ、はやくおにげなさい。 かわいそうなお子さまだ。 」といいました。 「きっと、けものが、すぐでてきて、くいころしてしまうだろう。 」と、心のうちで思いましたが、お姫さまをころさないですんだので、胸の上からおもい石でもとれたように、らくな気もちになりました。 ちょうどそのとき、イノシシの子が、むこうからとびだしてきましたので、かりうどはそれをころして、その 血 ( ち )をハンケチにつけて、お姫さまをころしたしょうこに、女王さまのところに持っていきました。 女王さまは、それをごらんになって、すっかり安心して、白雪姫は死んだものと思っていました。 さて、かわいそうなお姫さまは、大きな森の中で、たったひとりぼっちになってしまって、こわくってたまらず、いろいろな木の葉っぱを見ても、どうしてよいのか、わからないくらいでした。 お姫さまは、とにかくかけだして、とがった石の上をとびこえたり、イバラの中をつきぬけたりして、森のおくの方へとすすんでいきました。 ところが、けだものはそばをかけすぎますけれども、すこしもお姫さまをきずつけようとはしませんでした。 白雪姫は、足のつづくかぎり走りつづけて、とうとうゆうがたになるころに、一 軒 ( けん )の小さな 家 ( うち )を見つけましたので、つかれを休めようと思って、その中にはいりました。 その家の中にあるものは、なんでもみんな小さいものばかりでしたが、なんともいいようがないくらいりっぱで、きよらかでした。 そのへやのまん中には、ひとつの白い 布 ( きれ )をかけたテーブルがあって、その上には、七つの小さなお 皿 ( さら )があって、またその一つ一つには、さじに、ナイフに、フォークがつけてあって、なおそのほかに、七つの小さなおさかずきがおいてありました。 そして、また 壁 ( かべ )ぎわのところには、七つの小さな 寝 ( ね )どこが、すこしあいだをおいて、じゅんじゅんにならんで、その上には、みんな雪のように白い 麻 ( あさ )の 敷布 ( しきふ )がしいてありました。 白雪姫は、たいへんおなかがすいて、おまけにのどもかわいていましたから、一つ一つのお 皿 ( さら )から、すこしずつ やさいのスープとパンをたべ、それから、一つ一つのおさかずきから、一 滴 ( てき )ずつブドウ 酒 ( しゅ )をのみました。 それは、一つところのを、みんなたべてしまうのは、わるいと思ったからでした。 それが、すんでしまうと、こんどは、たいへんつかれていましたから、ねようと思って、一つの寝どこにはいってみました。 けれども、どれもこれもちょうどうまくからだにあいませんでした。 長すぎたり、短すぎたりしましたが、いちばんおしまいに、七ばんめの寝どこが、やっとからだにあいました。 それで、その寝どこにはいって、神さまにおいのりをして、そのままグッスリねむってしまいました。 日がくれて、あたりがまっくらになったときに、この小さな家の主人たちがかえってきました。 その主人たちというのは、七人の 小人 ( こびと )でありました。 この小人たちは、毎日、山の中にはいりこんで、金や 銀 ( ぎん )のはいった石をさがして、よりわけたり、ほりだしたりするのが、しごとでありました。 小人 ( こびと )はじぶんたちの七つのランプに火をつけました。 すると、家の中がパッとあかるくなりますと、だれかが、その中にいるということがわかりました。 それは、小人たちが家をでかけたときのように、いろいろのものが、ちゃんとおいてなかったからでした。 第一の小人が、まず口をひらいて、いいました。 「だれか、わしのいすに 腰 ( こし )をかけた者があるぞ。 」 すると、第二の小人がいいました。 「だれか、わしのお 皿 ( さら )のものをすこしたべた者があるぞ。 」 第三の小人がいいました。 「だれか、わしのパンをちぎった者があるぞ。 」 第四の小人がいいました。 「だれか、わしのやさいをたべた者があるぞ。 」 第五の小人がいいました。 「だれかわしのフォークを使った者があるぞ。 」 第六の 小人 ( こびと )がいいました。 「だれか、わしのナイフで切った者があるぞ。 」 第七の小人がいいました。 「だれか、わしのさかずきでのんだ者があるぞ。 」 それから、第一の小人が、ほうぼうを見まわしますと、じぶんの 寝 ( ね )どこが、くぼんでいるのを見つけて、声をたてました。 「だれが、わしの寝どこにはいりこんだのだ。 」 すると、ほかの 小人 ( こびと )たちが 寝 ( ね )どこへかけつけてきて、さわぎだしました。 「わしの寝どこにも、だれかがねたぞ。 」 けれども、第七ばんめの小人は、じぶんの寝どこへいってみると、その中に、はいってねむっている白雪姫を見つけました。 こんどは、第七ばんめの小人が、みんなをよびますと、みんなは、なにがおこったのかと思ってかけよってきて、びっくりして声をたてながら七つのランプを持ってきて白雪姫をてらしました。 「おやおやおやおや、なんて、この子は、きれいなんだろう。 」と、 小人 ( こびと )はさけびました。 それから小人たちは、大よろこびで、 白雪姫 ( しらゆきひめ )をおこさないで、 寝 ( ね )どこの中に、そのままソッとねさせておきました。 そして、七ばんめの小人は、一時間ずつほかの小人の寝どこにねるようにして、その夜をあかしました。 朝になって、白雪姫は目をさまして、七人の小人を見て、おどろきました。 けれども、小人たちは、たいへんしんせつにしてくれて、「おまえさんの名まえはなんというのかな。 」とたずねました。 すると、 「わたしの名まえは、白雪姫というのです。 」と、お姫さまは答えました。 「おまえさんは、どうして、わたしたちの 家 ( うち )にはいってきたのかね。 」と、小人たちはききました。 そこで、お姫さまは、まま母が、じぶんをころそうとしたのを、かりうどが、そっと助けてくれたので、一日じゅう、かけずりまわって、やっと、この家を見つけたことを、小人たちに話しました。 その話をきいて、小人たちは、 「もしも、おまえさんが、わしたちの家の中のしごとをちゃんと引きうけて、にたきもすれば、おとこものべるし、せんたくも、ぬいものも、あみものも、きちんときれいにする気があれば、わしたちは、おまえさんを 家 ( うち )においてあげて、なんにもふそくのないようにしてあげるんだが。 」といいました。 「どうぞ、おねがいします。 」と、お姫さまはたのみました。 それからは、 白雪姫 ( しらゆきひめ )は、 小人 ( こびと )の家にいることになりました。 白雪姫は、小人の家のしごとを、きちんとやります。 小人の方では毎朝、山にはいりこんで、金や 銀 ( ぎん )のはいった石をさがし、夜になると、家にかえってくるのでした。 そのときまでに、ごはんのしたくをしておかねばなりませんでした。 ですから、ひるまは白雪姫は、たったひとりでるすをしなければなりませんので、しんせつな小人たちは、こんなことをいいました。 「おまえさんのまま母さんに用心なさいよ。 おまえさんが、ここにいることを、すぐ知るにちがいない。 だから、だれも、この家の中にいれてはいけないよ。 」 こんなことはすこしも知らない女王さまは、かりうどが白雪姫をころしてしまったものだと思って、じぶんが、また第一のうつくしい女になったと安心していましたので、あるとき 鏡 ( かがみ )の前にいって、いいました。 「 女王 ( じょおう )さま、ここでは、あなたがいちばんうつくしい。 けれども、いくつも山こした、 七人の小人の家にいる 白雪姫 ( しらゆきひめ )は、 まだ千ばいもうつくしい。 」 これをきいたときの、女王さまのおどろきようといったらありませんでした。 この鏡は、けっしてまちがったことをいわない、ということを知っていましたので、かりうどが、じぶんをだましたということも、白雪姫が、まだ生きているということも、みんなわかってしまいました。 そこで、どうにかして、白雪姫をころしてしまいたいものだと思いまして、またあたらしく、いろいろと考えはじめました。 女王さまは、国じゅうでじぶんがいちばんうつくしい女にならないうちは、ねたましくて、どうしても、安心していられないからでありました。 そこで、女王さまは、おしまいになにか一つの 計略 ( けいりゃく )を考えだしました。 そしてじぶんの顔を黒くぬって、年よりの 小間物屋 ( こまものや )のような 着物 ( きもの )をきて、だれにも女王さまとは思えないようになってしまいました。 こんなふうをして、七つの山をこえて、七人の 小人 ( こびと )の家にいって、戸をトントンとたたいて、いいました。 「よい 品物 ( しなもの )がありますが、お買いになりませんか。 」 白雪姫はなにかと思って、 窓 ( まど )から首をだしてよびました。 「こんにちは、おかみさん、なにがあるの。 」 「 上等 ( じょうとう )な品で、きれいな品を持ってきました。 いろいろかわったしめひもがあります。 」といって、いろいろな色の 絹糸 ( きぬいと )であんだひもを、一つ取りだしました。 白雪姫は、 「この 正直 ( しょうじき )そうなおかみさんなら、家の中にいれてもかまわないだろう。 」と思いまして、戸をあけて、きれいなしめひもを買いとりました。 「おじょうさんには、よくにあうことでしょう。 さあ、わたしがひとつよくむすんであげましょう。 」と、年よりの 小間物屋 ( こまものや )はいいました。 白雪姫は、すこしもうたがう気がありませんから、そのおかみさんの前に立って、あたらしい買いたてのひもでむすばせました。 すると、そのばあさんは、すばやく、そのしめひもを白雪姫の首をまきつけて、強くしめましたので、息ができなくなって、死んだようにたおれてしまいました。 「さあ、これで、わたしが、いちばんうつくしい女になったのだ。 」といって、まま母はいそいで、でていってしまいました。 それからまもなく、日がくれて、七人の 小人 ( こびと )たちが、家にかえってきましたが、かわいがっていた白雪姫が、地べたの上にたおれているのを見たときには、小人たちのおどろきようといったらありませんでした。 白雪姫は、まるで死人のように、息もしなければ、動きもしませんでした。 みんなで白雪姫を地べたから高いところにつれていきました。 そして、のどのところが、かたくしめつけられているのを見て、小人たちは、しめひもを二つに切ってしまいました。 すると、すこし息をしはじめて、だんだん元気づいてきました。 小人たちは、どんなことがあったのかをききますと、姫はきょうあった、いっさいのことを話しました。 「その 小間物売 ( こまものう )りの女こそ、 鬼 ( おに )のような女王にちがいない。 よく気をつけなさいよ。 わたしたちがそばにいないときには、どんな人だって、家にいれないようにするんですよ。 わるい女王の方では、家にかえってくると、すぐ 鏡 ( かがみ )の前にいって、たずねました。 「女王さま、ここでは、あなたがいちばんうつくしい。 けれども、いくつも山こした、 七人の 小人 ( こびと )の家にいる白雪姫は、 まだ千ばいもうつくしい。 」 と、このことを女王さまがきいたときには、からだじゅうの 血 ( ち )がいっぺんに、 胸 ( むね )によってきたかと思うくらいおどろいてしまいました。 白雪姫が、また生きかえったということを知ったからです。 「だが、こんどこそは、おまえを、ほんとうにころしてしまうようなことを 工夫 ( くふう )してやるぞ。 」そういって、じぶんの知っている 魔法 ( まほう )をつかって、一つの 毒 ( どく )をぬった 櫛 ( くし )をこしらえました。 それから、女王さまは、みなりをかえ、まえとはべつなおばあさんのすがたになって、七つの山をこえ、七人の小人のところにいって、トントンと戸をたたいて、いいました。 「よい 品物 ( しなもの )がありますが、お買いになりませんか。 」 白雪姫は、中からちょっと顔をだして、 「さあ、あっちにいってちょうだい。 だれも、ここにいれないことになっているんですから。 」 「でも、見るだけなら、かまわないでしょう。 」 おばあさんはそういって、 毒 ( どく )のついている 櫛 ( くし )を、 箱 ( はこ )から取りだし、手のひらにのせて高くさしあげてみせました。 ところが、その櫛がばかに、白雪姫のお気にいりましたので、その方に気をとられて、思わず戸をあけてしまいました。 そして、櫛を買うことがきまったときに、おばあさんは、 「では、わたしが、ひとつ、いいぐあいに 髪 ( かみ )をといてあげましょう。 」といいました。 かわいそうな白雪姫は、なんの気なしに、おばあさんのいうとおりにさせました。 ところが、 櫛 ( くし )の 歯 ( は )が髪の毛のあいだにはいるかはいらないうちに、おそろしい毒が、姫の 頭 ( あたま )にしみこんだものですから、姫はそのばで気をうしなってたおれてしまいました。 「いくら、おまえがきれいでも、こんどこそおしまいだろう。 」と、心のまがった女は、きみのわるい笑いを浮かべながら、そこをでていってしまいました。 けれども、ちょうどいいぐあいに、すぐゆうがたになって、七人の 小人 ( こびと )がかえってきました。 そして、白雪姫が、また死んだようになって、地べたにたおれているのを見て、すぐまま母のしわざと気づきました。 それで、ほうぼう姫のからだをしらべてみますと、 毒 ( どく )の 櫛 ( くし )が見つかりましたので、それをひきぬきますと、すぐに姫は息をふきかえしました。 そして、きょうのことを、すっかり小人たちに話しました。 小人たちは、白雪姫にむかってもういちど、よく用心して、けっしてだれがきても、戸をあけてはいけないと、ちゅういしました。 心のねじけた女王さまは、家にかえって、 鏡 ( かがみ )の前に立っていいました。 「女王さま、ここでは、あなたがいちばんうつくしい。 けれども、いくつも山こした、 七人の小人の家にいる白雪姫は、 まだ千ばいもうつくしい。 」 女王さまは、 鏡 ( かがみ )が、こういったのをきいたとき、あまりの 腹 ( はら )だちに、からだじゅうをブルブルとふるわしてくやしがりました。 「白雪姫のやつ、どうしたって、ころさないではおくものか。 たとえ、わたしの命がなくなっても、そうしてやるのだ。 」と、大きな声でいいました。 それからすぐ、女王さまは、まだだれもはいったことのない、はなれたひみつのへやにいって、そこで、 毒 ( どく )の上に毒をぬった一つのリンゴをこさえました。 そのリンゴは、見かけはいかにもうつくしくて、白いところに赤みをもっていて、一目見ると、だれでもかじりつきたくなるようにしてありました。 けれども、その一きれでもたべようものなら、それこそ、たちどころに死んでしまうという、おそろしいリンゴでした。 さて、リンゴが、すっかりできあがりますと、顔を黒くぬって、百 姓 ( しょう )のおかみさんのふうをして、七つの山をこして、七人の 小人 ( こびと )の家へいきました。 そして、戸をトントンとたたきますと、白雪姫が、 窓 ( まど )から 頭 ( あたま )をだして、 「七人の小人が、いけないといいましたから、わたしは、だれも中にいれるわけにはいきません。 」といいました。 「いいえ、はいらなくてもいいんですよ。 わたしはね、いまリンゴをすててしまおうかと思っているところなので、おまえさんにも、ひとつあげようかと思ってね。 」と、百 姓 ( しょう )の女はいいました。 「いいえ、わたしはどんなものでも、人からもらってはいけないのよ。 」と、白雪姫はことわりました。 「おまえさんは、 毒 ( どく )でもはいっていると思いなさるのかね。 まあ、ごらんなさい。 このとおり、二つに切って、半分はわたしがたべましょう。 よくうれた赤い方を、おまえさんおあがりなさい。 」といいました。 そのリンゴは、たいへんじょうずに、こしらえてありまして、赤い方のがわだけに、 毒 ( どく )がはいっていました。 白雪姫は、百姓のおかみさんが、さもうまそうにたべているのを見ますと、そのきれいなリンゴがほしくてたまらなくなりました。 それで、ついなんの気なしに手をだして、 毒 ( どく )のはいっている方の半分を受けとってしまいました。 けれども、一かじり口にいれるかいれないうちに、バッタリとたおれ、そのまま息がたえてしまいました。 すると、女王さまは、そのようすをおそろしい目つきでながめて、さもうれしそうに、大きな声で笑いながら、 「雪のように白く、 血 ( ち )のように赤く、 こくたんのように黒いやつ、こんどこそは、 小人 ( こびと )たちだって、助けることはできまい。 」といいました。 そして、大いそぎで家にかえりますと、まず 鏡 ( かがみ )のところにかけつけてたずねました。 「女王さま、お国でいちばん、あなたがうつくしい。 」 これで、女王さまの、ねたみぶかい心も、やっとしずめることができて、ほんとうにおちついた気もちになりました。 ゆうがたになって、小人たちは、家にかえってきましたが、さあたいへん、こんども、また白雪姫が、地べたにころがって、たおれているではありませんか。 びっくりして、かけよってみれば、もう姫の口からは息一つすらしていません。 かわいそうに死んで、もうひえきってしまっているのでした。 小人たちは、お姫さまを、高いところにはこんでいって、なにか 毒 ( どく )になるものはありはしないかと、さがしてみたり、ひもをといたり、 髪 ( かみ )の毛をすいたり、水や、お酒で、よくあらってみたりしましたが、なんの役にもたちませんでした。 みんなでかわいがっていたこどもは、こうしてほんとうに死んでしまって、ふたたび生きかえりませんでした。 小人たちは、白雪姫のからだを、一つの 棺 ( かん )の上にのせました。 そして、七人の者が、のこらずそのまわりにすわって、三日三晩泣きくらしました。 それから、姫をうずめようと思いましたが、なにしろ姫はまだ生きていたそのままで、いきいきと顔色も赤く、かわいらしく、きれいなものですから、小人たちは、 「まあ見ろよ。 これを、あのまっ黒い土の中に、うめることなんかできるものか。 」そういって、外から中が見られるガラスの 棺 ( かん )をつくり、その中に姫のからだをねかせ、その上に 金文字 ( きんもじ )で白雪姫という名を書き、王さまのお姫さまであるということも、書きそえておきました。 それから、みんなで、棺を山の上にはこびあげ、七人のうちのひとりが、いつでも、そのそばにいて番をすることになりました。 すると、鳥や、けだものまでが、そこにやってきて、白雪姫のことを泣きかなしむのでした。 いちばんはじめにきたのは、フクロウで、そのつぎがカラス、いちばんおしまいにハトがきました。 さて、白雪姫は、ながいながいあいだ 棺 ( かん )の中によこになっていましたが、そのからだは、すこしもかわらず、まるで眠っているようにしか見えませんでした。 お姫さまは、まだ雪のように白く、 血 ( ち )のように赤く、 こくたんのように黒い 髪 ( かみ )の毛をしていました。 すると、そのうち、ある日のこと、ひとりの 王子 ( おうじ )が、森の中にまよいこんで、七人の小人の家にきて、一晩とまりました。 王子は、ふと山の上にきて、ガラスの棺に目をとめました。 近よってのぞきますと、じつにうつくしいうつくしい少女のからだがはいっています。 しばらくわれをわすれて見とれていました王子は、棺の上に金文字で書いてあることばをよみ、すぐ小人たちに、 「この 棺 ( かん )を、わたしにゆずってくれませんか。 そのかわりわたしは、なんでも、おまえさんたちのほしいと思うものをやるから。 」といわれました。 けれども、小人たちは、 「たとえわたしたちは、世界じゅうのお金を、みんないただいても、こればかりはさしあげられません。 」とお答えしました。 「そうだ、これにかわるお礼なんぞあるもんじゃあない。 だがわたしは、白雪姫を見ないでは、もう生きていられない。 お礼なぞしないから、ただください。 わたしの生きているあいだは、白雪姫をうやまい、きっとそまつにはしないから。 」 王子 ( おうじ )はおりいっておたのみになりました。 王子が、こんなにまでおっしゃるので、気だてのよい小人たちは、王子の心もちを、気のどくに思って、その棺をさしあげることにしました。 王子は、それを、 家来 ( けらい )たちにめいじて、 肩 ( かた )にかついではこばせました。 ところが、まもなく、家来のひとりが、一本の木につまずきました。 で、棺がゆれたひょうしに、白雪姫がかみ切った 毒 ( どく )のリンゴの一きれが、のどからとびだしたものです。 すると、まもなく、お姫さまは目をパッチリ見ひらいて、 棺 ( かん )のふたをもちあげて、起きあがってきました。 そして元気づいて、 「おやまあ、わたしは、どこにいるんでしょう。 」といいました。 それをきいた王子のよろこびはたとえようもありませんでした。 「わたしのそばにいるんですよ。 」といって、いままであったことをお話しになって、そのあとから、 「わたしは、あなたが世界じゅうのなにものよりもかわいいのです。 さあ、わたしのおとうさんのお 城 ( しろ )へいっしょにいきましょう。 そしてあなたは、わたしのお 嫁 ( よめ )さんになってください。 」といわれました。 そこで、白雪姫もしょうちして、王子といっしょにお城にいきました。 そして、ふたりのごこんれいは、できるだけりっぱに、さかんにいわわれることになりました。 けれども、このおいわいの 式 ( しき )には、白雪姫のまま母である女王さまもまねかれることになりました。 女王さまは、わかい 花嫁 ( はなよめ )が白雪姫だとは知りませんでした。 女王さまはうつくしい 着物 ( きもの )をきてしまったときに、 鏡 ( かがみ )の前にいって、たずねました。 「女王さま、ここでは、あなたがいちばんうつくしい。 けれども、わかい女王さまは、千ばいもうつくしい。 」 これをきいたわるい女王さまは、腹をたてまいことか、のろいのことばをつぎつぎにあびせかけました。 そして、気になって気になって、どうしてよいか、わからないくらいでした。 女王さまは、はじめのうちは、もうごこんれいの 式 ( しき )にはいくのをやめようかと思いましたけれども、それでも、じぶんででかけていって、そのわかい女王さまを見ないでは、とても、安心できませんでした。 女王さまは、まねかれたご 殿 ( てん )にはいりました。 そして、ふと見れば、わかい女王になる人とは白雪姫ではありませんか。 女王はおそろしさで、そこに立ちすくんだまま動くことができなくなりました。 けれども、そのときは、もう人々がまえから 石炭 ( せきたん )の火の上に、 鉄 ( てつ )でつくったうわぐつをのせておきましたのが、まっ赤にやけてきましたので、それを火ばしでへやの中に持ってきて、わるい女王さまの前におきました。 そして、むりやり女王さまに、そのまっ赤にやけたくつをはかせて、たおれて死ぬまでおどらせました。

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グリム 菊池寛訳 白雪姫

白雪姫

おきさきは魔法のカガミを持っていて、いつも魔法のカガミにたずねます。 「カガミよカガミよ、この世で一番美しいのは誰?」 おきさきは、カガミがいつもの様に、 「あなたが、一番美しいです」 と、答えるのを待ちました。 しかしカガミは、 「あなたの娘、白雪姫 しらゆきひめ です」 と、答えたのです。 おきさきは、白雪姫の2度目のお母さんです。 おきさきは激しく腹を立て、白雪姫を猟師 りょうし に殺させようとしました。 でも心の優しい猟師は白雪姫をそっと森の中に隠して、おきさきには白雪姫を殺したとうそをついたのです。 白雪姫は、森に住む七人のたちと暮らす事になりました。 そして小人たちが山に働きに行っている間、掃除や洗濯や針仕事をしたり、ごはんを作ったりして毎日を楽しく過ごしました。 「白雪姫、わたしたちが仕事に行っている間、誰も家に入れちゃいけないよ。 あの怖いおきさきに、ここが知られてしまうからね」 と、いつも小人たちは言うのでした。 ところがある日、 「カガミよカガミよ、この世で一番美しいのはだれ?」 と、おきさきがカガミに聞くと、 「山を越えたその向こう、七人の小人の家にいる白雪姫です」 と、答えたのです。 「なんですって!! あの猟師、裏切ったね! よし、こうなれば」 自分で白雪姫を殺そうと考えたおきさきは、物売りのおばあさんに化けると、毒リンゴを手に七つの山を越えて小人の家に行きました。 そして、窓を叩いて言いました。 「美しい娘さんに、おくり物だよ」 「まあ、何てきれいなリンゴ。 おばあさん、ありがとう」 けれど、そのリンゴを一口かじるなり白雪姫はバタリと倒れて、二度と目を開きませんでした。 白雪姫が死んだ事を知った小人たちは悲しみ、せめて美しい白雪姫がいつでも見られる様にと、ガラスのひつぎの中に白雪姫を寝かせて森の中に置きました。 そしてある日、1人の王子が森で、白雪姫のひつぎを見つけたのです。 「何てきれいな姫なんだ。 まるで眠っているようだ」 王子は思わず、ひつぎの中の白雪姫にキスをしました。 するとキスしたはずみで、毒リンゴのかけらが白雪姫ののどから飛び出したのです。 目を開けた白雪姫は、 「わたしは、どこにいるのかしら?」 と、王子に尋ねました。 「ずっと、わたしと一緒にいるのですよ。 姫」 王子と結婚した白雪姫は、ずっと幸せに暮らしました。

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