生 のみ 生 の まま で。 生のみ生のままで 下 / 綿矢 りさ【著】

『生のみ生のままで〈下〉』病めるときも健やかなるときも愛し続けた社会人百合小説

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恋人と出かけたリゾートで、逢衣は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏に出会う。 芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかり。 けれど、四人でいるうちに打ち解け、東京へ帰った後も、逢衣は彼女と親しく付き合うようになる。 (感想) 上下巻まとめての感想になります。 彩夏という女の子が出てきた瞬間、 とりあえずこの物語を動かすキーマンはこの子なんだろうなと瞬間的にわかっちゃう。 でも、最初はただ受け身なだけで、 彩夏の激しさに巻き込まれてしまったかのように思われた逢衣が、 苦難の恋愛をし、7年の年月を超えても気持ちがブレず、強く逞しくなっていく姿は素敵だったなぁ。 単純に「百合小説」とは言い難い、純粋で、でも生々しい「生」も感じました。 この題材でここまで読ませるとは、さすが綿矢さんです。 女性同士の恋愛って、 日本では男性同士のそれに比べるとまだまだ理解が得られていない気がします。 ゲイとかそういう類の男性有名人はたくさんいるのに、 女性のそういう方がいないのもなーんか不自然ですよね。 でもいつか、それがなんの偏見も受けずに受け入れられる世の中はきっと来るんじゃないかなぁ。 どんな個性でも受け入れられる、そういう時代になってほしいですね。

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綿矢りささん「生のみ生のままで」に島清恋愛文学賞 女性の同性愛テーマの恋愛小説、2年連続受賞|好書好日

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作品紹介・あらすじ 「私たちは、友達じゃない」 25歳、夏。 恋人と出かけたリゾートで、逢衣 あい は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏 さいか に出逢う。 芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかりだったが、四人で行動するうちに打ち解けてゆく。 東京へ帰った後、逢衣は彩夏と急速に親しくなった。 やがて恋人との間に結婚の話が出始めるが、ある日とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。 綿矢りさ堂々の新境地! 女性同士の鮮烈なる恋愛小説。 【著者プロフィール】 綿矢りさ わたや・りさ 1984年京都府生まれ。 早稲田大学教育学部卒業。 2001年『インストール』で第38回文藝賞を受賞しデビュー。 2004年『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞。 2012年『かわいそうだね? 』で第6回大江健三郎賞を受賞。 逢衣は、彼氏の颯と行った旅行先で、颯の幼馴染である琢磨とその彼女の彩夏に出会う。 芸能活動をしている彩夏の無愛想で近寄りがたい雰囲気に、当初は苦手意識を覚える逢衣だったが、4人で過ごすうちに打ち解け、東京に戻った後も2人で親しく遊ぶようになる。 そして彩夏からの突然の告白。 あり得ないと激しく拒絶する逢衣だが、いつのまにか狂おしく惹きつけられている自分に気づく…。 綿矢さんの作品には、本気のコメディと本気のシリアス 日本語おかしい?笑 に分けられると思うのだけど、本作は完全に後者です。 話の雰囲気としては、綿矢さん第三作の『夢を与える』に近いような。 それがさらに洗練されて、とても純度の高い恋愛小説に仕上がっていた。 とはいえ、2人の会話はとても軽妙でユーモラス。 "「不思議なんだけど逢衣の側にいると私の身体にも心にも化学反応が起きるんだ。 バスルームで塩素系のカビ取り剤と酸性の洗剤を混ぜちゃったら有毒ガスが発生するでしょ、たとえは悪いけどまさにあんな感じ。 胸が切なさでいっぱいになって、引き寄せられるのが止まらなくなる」" この話の流れに有毒ガスを出してくるセンスが大好き(笑) 磁石のように引き合い、互いを求め合う2人。 タイトルのとおり、"生のみ生のままで"愛し合う。 だけどそんな2人に試練が…。 芸能人だからいけないのか、女同士だからいけないのか。 芸能人であっても、人が人との結びつきを求めるのは当たり前だし、人を愛するのを制止することはできないよね。 某アイドルの結婚報道見てても思ったけれど、いい年した大人が結婚の意思を表明しているのを、外野がヒステリックに反対するのは見苦しい。 それに、LGBTの友人カップルが複数いて、同性愛も私の中ではタブーでなくなっているから、そんなにセンセーショナルなことなのかが最早わからない。 上巻で200頁足らずなので、他の作品だと上下巻合わせて一冊にしてしまう分量なのだけど、中身が恐ろしく濃厚で、だんだんくらくらしてくるから、上巻終わるあたりで一息つくくらいがちょうどよかった。 2人の続きが気になる。 5 彩夏と出逢った夏、逢衣には結婚を意識する恋人(男性)がいて、 芸能界で活躍し始めた彩夏にも隠れて付き合う恋人(男性)がいた。 女友達として彩夏と仲良くなったつもりの逢衣だったが、彩夏は初めから逢衣に恋をしていた。 急速に距離を縮めてくる彩夏を拒否していた逢衣も、結局は彼女を受け入れた。 そして恋人(男性)と別れた二人は一緒に暮らし始める。 憧れの出版社で働き始めた逢衣と、芸能活動をより頑張り始めた彩夏。 二人だけの秘密の愛を育む甘い生活。 充実した毎日を送っていた二人を引き裂いたのは隠し撮り写真。 二人が口づけしている写真が週刊誌に載らないよう、もみ消した事務所の統括部長は、大活躍中の彩夏をスキャンダルで汚すわけにはいかないと言い、二人に別れを迫る。 --------------------------------------------- 一目惚れをした彩夏が想いを伝えて、逢衣もそれに応えて、愛し合い始めた二人が困難を乗り越えながら一緒に成長していく、という恋愛小説としては王道のストーリーだと思う。 逢衣も彩夏も元々同性愛嗜好はなくて、お互いを人間として愛し始めたんだと思う。 でも愛を確かめ合うには身体の交わりも必要なわけで、身体の接触に積極的な彩夏とそれに戸惑う逢衣の感情の対比が抜群に良い。 逢衣にだけ無防備な姿を見せる彩夏、最高。 これは絶対に映像化するべき作品。 歴史に残る名作になるはず。 もちろん18禁でやってほしい。 事務所の力で引き裂かれそうになる二人の愛にドキドキしながらも、どうせ結局は明るい未来が待ってるんでしょ、となめ切った予想をしながら下巻も続けて読む。

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綿矢りさ『生のみ生のままで』感想【女性同士の鮮烈なる恋愛小説】|【雑記ブログ】いちいちくらくら日記

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綿矢りささん「生のみ生のままで」に島清恋愛文学賞 女性の同性愛テーマの恋愛小説、2年連続受賞 綿矢りささん 恋愛小説に特化した島清(しませ)恋愛文学賞が7日、綿矢りささんの『生(き)のみ生(き)のままで』(集英社)に決まった。 昨年に続き、2年連続で女性同士の恋愛を描いた作品が選ばれた。 10~20代の大学生が候補作を絞り込むこの文学賞に、恋愛小説の「いま」を垣間見た。 綿矢りささん「生のみ生のままで」 悲恋よりハッピーエンドに 《男も女も関係ない。 逢衣(あい)だから好き。 ただ存在してるだけで、逢衣は私の特別な人になっちゃったの》 『生のみ生のままで』では、彼氏と旅行中に知り合った女性2人が、互いにそのつもりはなかったのに恋に落ちてしまう。 2人とも、それまで当然のように自分を異性愛者ととらえていたが、感情はそんな垣根をやすやすと越えた。 選考委員の林真理子さんは選考会後、「新しい恋愛の形を書いた小説に賞を差し上げたいと思っていた」と述べたうえで、受賞作について「ハッピーエンドが非常に新しい。 ここが本当に素晴らしくて、やっと日本でもこういう同性の恋愛小説が出てきたんだなと思った」と講評した。 林さんは、これまで女性同士の恋愛を題材にした小説として、2002年の直木賞候補になった中山可穂さんの短編集『花伽藍(がらん)』を挙げた。 主として登場するのは、同性愛者、あるいはバイセクシュアルと自覚する女性たち。 冒頭の一編「鶴」では、異性愛者の人妻と恋仲になった女性が、自分が本当に彼女を満足させられているのか悩む。 それは、異性愛と同性愛では愛し方が違うことを前提にした悩みだった。 受賞を伝えられた綿矢さんは「女性同士に限らず、男性同士の恋愛も、長い歴史の中で取り上げられてきているけれど、現代から離れるほど、悲恋のものが多い印象がある。 現代の同性同士の恋愛を考えたとき、ハッピーエンドにしたいと思った」と話した。 当然発生するものと思って 三浦しをんさん「ののはな通信」 三浦しをんさん 島清恋愛文学賞は1994年から続く。 第25回となった昨年、同性愛がクローズアップされた作品が初めて受賞した。 三浦しをんさん『ののはな通信』(KADOKAWA)は、女子校で生涯に一度しかない恋を育んだ2人の女性の生き様が、人生の様々な局面で交わされる書簡を通じて描かれる。 性愛に関しては、一人は潔癖に、限られた女性しか愛さない。 もう一人は男性と結婚し、その時々に女性たちとも性的な関係をつくる。 《どうして言葉なんてあるんだろう。 友情とか恋愛とか、男とか女とか、言葉はなにかを区別し、分断するためにあるとしか思えない。 言葉がなければ、私たちはただ一緒にいられたかもしれないのに》 三浦さんは贈呈式で、「性別に関係なく、恋愛感情は当然発生すると思って書きました」と話している。 この賞は、石川県出身の作家、島田清次郎(1899~1930)にちなむ。 主催する地元の金沢学院大学の文学部の学生たちが、約20作品から3作程度まで候補作を絞り込み、選考委員に委ねる仕組みだ。 指導する水洞(すいどう)幸夫教授(日本近代文学)は、『生のみ生のままで』が候補に挙がり、学生たちに2年連続で同性愛が題材の作品が受賞する可能性を指摘した。 すると、意外な反応がかえってきたという。 「言われて初めて気づいたというようにきょとんとしていた。 熱烈に推す学生も同性愛だからでなく、文章の力にひかれていた。 我々みたいに構えてはいなかったんです」 女性同士の恋愛を描いた文学の系譜には、谷崎潤一郎『卍(まんじ)』や同性愛の苦悩を描いた吉屋信子の作品がある。 それらに比べ、『生のみ生のままで』は「じめじめしたところがなく、恋愛らしい恋愛を描いている」と評する。 ここ数年、同性愛はドラマにも取り上げられ、「社会の流れとしても特別なことではなくなっていると感じる」と話した。 (興野優平) =朝日新聞2020年2月19日掲載.

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