東北 メディカル メガバンク。 組織・メンバー

東北メディカル・メガバンク計画における歯科関連調査の設計・戦略および進捗状況に関する論文がThe Tohoku Journal of Experimental Medicine誌に掲載

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予防医学・疫学部門は、地域の保健支援をきめ細かく行いながら、三世代コホート、地域住民コホート、地域子ども長期健康調査を確立して遺伝子解析等による最先端医療の実現に寄与します。 東日本大震災の被災地には、種々のストレスによる感染症の増加、慢性疾患の悪化やPTSR(心的外傷後ストレス反応)の発症等の懸念があります。 また、妊婦や子ども、高齢者など、災害弱者に焦点を当てた調査の必要性もあります。 このような背景から、予防医学・疫学部門は、地域の保健機能を支援・拡充すると共に、住民の健康を長期に追跡して疾病の予防、病気の早期発見・早期治療につなげていきます。 調査によって得られたデータを集積し、分析することで、最高水準の医療の迅速な提供に資していきたいと考えています。 教授 准教授 講師 助教 助手 客員教授 非常勤講師 辻 一郎 教授 部門長 教授。 東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻長。。。 東北大学医学部卒業。 医学博士。 1993年東北大学医学部講師、1996年同助教授を経て、2002年から医学系研究科教授。 主な受賞 2001年度 東北大学医学部奨学賞金賞、日本医師会医学研究助成費 2008 、(2017) 一言 「震災後、地域保健支援センターを立ち上げて、被災者の方々に対する健康支援と被災地の保健衛生システムの復興に向けた活動を展開してきました。 被災地支援と医学研究を表裏一体のものとして、進めていきたいと思います」 寳澤 篤 教授 副部門長 教授。 災害交通医療情報学寄附研究部門教授。 副事業部長。 東北大学医学部卒。 医学博士。 ミネソタ大学疫学・地域健康部門客員研究員、滋賀医科大学保健医学部門(現公衆衛生学)特任助教、東北大学大学院医学系研究科助教、山形大学大学院医学系研究科講師を経て2012年東北メディカル・メガバンク機構発足に際して着任。 専門は、循環器疾患の疫学・予防医学。 栗山 進一 教授 教授。 災害交通医療情報学寄附研究部門教授。 副事業部長。 医学系研究科教授()。 大阪市立大学医学部医学科卒業。 大阪市立大学医学部付属病院第3内科、民間企業産業医、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野助手、講師、助教授を経て2010年から医学系研究科教授(分子疫学分野、現在も兼務)。 2012年から災害科学国際研究所教授。 主な受賞 2007年度 東北大学医学部奨学賞金賞 一言 「震災は子どもたちの心身の健康に大きな影響を与えているのではないかと懸念されています。 富田 博秋 教授 教授。 東北大学病院精神科科長。。。 1989年岡山大学医学部卒業、同大学精神神経医学教室入局。 1995年同大学大学院医学研究科修了。 1996年より長崎大学医学部人類遺伝学教室。 2002年より同大学助教授相当研究員。 2006年より東北大学大学院医学系研究科精神・神経生物学分野准教授。 2011年3月より被災地の精神保健支援活動。 2012年4月より東北大学災害科学国際研究所災害精神医学分野教授。 同年4月より東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野、東北大学病院精神科、東北メディカル・メガバンク機構、災害科学国際研究所を兼務。 小原 拓 准教授 准教授。 副室長。 准教授。 准教授。 2003年東北薬科大学薬学部卒業。 東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門 助教、講師を経て、2015年より東北大学病院薬剤部准教授。 専門は、薬剤疫学。 主な受賞 宮城県病院薬剤師会学術奨励賞(2015)、(2020)• 小林 朋子 准教授 小児発達学分野 准教授。 副室長。 センター長補佐。。 日本医科大学医学部卒業(1997年)、同大学小児科助手。 東北大学医学系研究科博士課程修了(医学博士)。 東北大学病院小児科医員を経て、東北メディカル・メガバンク機構 助教、講師を経て、2019年4月から現職。 専門は、小児神経学、臨床遺伝学。 小児科専門医、小児神経専門医、臨床遺伝専門医。 土屋 菜歩 准教授 准教授。 准教授。 旭川医科大学医学部医学科卒業(2002年)、山形大学公衆衛生学講座助手、長﨑大学医員、長崎大学大学院修了(医学博士)、ロンドン大学衛生熱帯医学校修了(疫学修士)、長崎大学熱帯医学研究所内科医員、長崎大学COE特別研究員を経て、東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門 助教、講師、2020年4月から現職。 専門は、疫学、感染症疫学、公衆衛生学。 石黒 真美 講師 講師。 秋田大学医学部卒業(2007年)、東北大学大学院医学系研究科医科学専攻博士課程修了(医学博士)。 東北大学大学院医学系研究科環境遺伝医学総合研究センター 技術補佐員、東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門 助手、助教を経て、2020年2月から現職。 専門は、分子疫学、母子保健。 後岡 広太郎 講師 講師。 ・ 副部門長。 ・(国際部門)。 特任講師。 東北大学医学部卒業(2004年)、同大学院修了(医学博士)。 ハーバード公衆衛生大学院修了(公衆衛生学修士)。 専門は、心不全、公衆衛生学。 日本内科学会認定内科医、日本循環器学会専門医、日本移植学会移植認定医、臨床研修医指導医。 村上 慶子 講師 講師。 災害交通医療情報学寄附研究部門 講師。 医学系研究科(分子疫学分野)講師。 東京大学医学部健康科学・看護学科卒業(2007年)、同大学院修了(公衆衛生学修士 専門職 、博士 医学 )。 帝京大学医学部助教、東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門 助教を経て、2020年4月から現職。 専門は、公衆衛生学、疫学。 岩間 憲之 助教 助教。 弘前大学医学部医学科卒業(2005年)、東北大学産科婦人科学教室入局(2007年)、東北大学大学院医学系研究科医科学専攻博士課程終了(医学博士)(2015年)、東北大学大学院医学系研究科非常勤講師、東北大学病院 周産母子センター助教を経て、2018年11月から東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 助教を兼務。 日本産科婦人科学会専門医、日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)、大崎市民病院産婦人科診療部(本院)副科長。 上野 史彦 助教 助教。 医学系研究科(分子疫学分野)助教。 専門は感染症疫学。 小暮 真奈 助教 助教。 副センター長。 鎌倉女子大学家政学部管理栄養学科卒業(2008年)、独立行政法人国立成育医療研究センター非常勤栄養士、鎌倉女子大学家政学部管理栄養学科 助手、東北大学大学院医学系研究科修士課程修了(医科学修士)、同大学院博士課程修了(医学博士)、2016年7月から東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 助手を経て、2017年4月から現職。 専門は、疫学、栄養疫学。 主な受賞 (2019)• 板橋 芙美 助手 助手。 日本赤十字秋田看護大学看護学部卒業(2013年)、(一財)宮城県予防医学協会健診センター保健師、東北大学大学院医学系研究科修士課程修了(公衆衛生学修士)を経て2020年4月から現職。 専門は、生活習慣病の疫学、保健指導。 大沼 ともみ 助手 助手。 富山大学理学部卒業(2003年)、IT関連企業を経て、2013年東北メディカル・メガバンク機構 技術補佐員、2020年4月から現職。 専門は、分子疫学。 野田 あおい 助手 助手。 医学系研究科(分子疫学分野)助手。 昭和大学薬学部卒業(2014年)、東北大学病院薬剤部、2018年4月から東北メディカル・メガバンク機構学術研究員、2018年11月から現職。 専門は、臨床薬学、薬剤疫学。 菊谷 昌浩 客員教授 客員教授。 帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座 教授。 1995年弘前大学医学部卒業。 医学博士。 東北大学薬学研究科助手、リューベン大学研究員、東北大学薬学研究科助教、同講師、2012年4月より東北メディカル・メガバンク機構准教授を経て、2018年4月より現職。 専門は、子どもの発育評価、循環器疾患の疫学・予防医学。 中谷 直樹 客員教授 客員教授。 埼玉県立大学大学院保健医療福祉学研究科 教授。 同大学保健医療福祉学部健康開発学科 教授。 1998年麻布大学環境保健学部卒業。 東北大学大学院医学系研究科修了。 博士(障害科学)。 東北大学研究支援員、国立がんセンター研究所支所リサーチ・レジデント、東北大学助教、日本学術振興会海外特別研究員(デンマーク対がん協会 外来研究員)、鎌倉女子大学専任講師、2012年から東北大学東北メディカル・メガバンク機構 講師、准教授を経て2019年4月より現職。 専門は、公衆衛生学、疫学、サイコオンコロジー、行動医学、応用健康科学。 主な受賞 平成25年 日本疫学会奨励賞• 永井 雅人 非常勤講師 非常勤講師。 岩手大学教育学部生涯教育課程スポーツ教育コース卒業(2006年)、宇都宮大学大学院教育学研究科教科教育専攻保健体育専修修了(修士(教育学))、東北大学大学院医学系研究科医科学専攻医学履修課程修了(博士(医学))、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野日本学術振興会特別研究員、公益財団法人循環器病研究振興財団リサーチ・レジデント(滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門客員助教)、滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門特任助教、福島県立医科大学ふくしま国際医療科学センター放射線医学県民健康管理センター健康調査支援部門疫学室助教(医学部疫学講座兼務)を経て、2016年10月東北メディカル・メガバンク機構助教、2020年4月より現職。 専門は、疫学。 主な受賞 第7回 Hypertension Research Award 優秀賞 2016年 平田 匠 非常勤講師 非常勤講師。 慶應義塾大学医学部卒業(2002年)、京都大学医学研究科臨床情報疫学分野(専門職学位課程) 修了(社会健康医学修士)、医学博士(慶應義塾大学)。 慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科 医員、埼玉社会保険病院 内科医長、公益財団法人先端医療振興財団 先端医療センター研究所 主任研究員、慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター 特任助教を経て、2018年4月から東北メディカル・メガバンク機構 講師、2020年1月より現職。 専門は、動脈硬化性疾患・内分泌代謝疾患・老年医学領域の臨床疫学、予防医学。 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、社会医学系指導医。

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いわて東北メディカル・メガバンク機構

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【発表のポイント】• 東北メディカル・メガバンク計画においては、コホート調査 *1で得られた家系等を含む情報について、日本で初めて分譲を開始します。 分譲の対象は、三世代コホート調査 *2によって得られたもので、7人家族を形成する三世代(児を中心にみた父母・祖父母の7人により構成される家系)、158組家系(1,107人)になり、家系、調査票(生活)、検体(血液・尿)検査、全ゲノム解析に関する情報です。 世界でも稀な家系情報付きの大規模コホート情報を、全国の研究者が利用可能にとなります。 遺伝要因・環境要因の家族内での類似性もしくは異質性を三世代にわたって比較することで、効率的な疾病の原因解明につながり、次世代医療の実現に向けた個別化予防・医療の加速が期待されます。 【概要】 東北メディカル・メガバンク計画において、三世代コホート調査のベースライン調査 *3(2013年から2017年まで実施)にご協力いただいた方々のうち、7人家族を形成する三世代(児を中心にみた父母・祖父母の7人により構成される家系)158組の家系、調査票(生活)、検体(血液・尿)検査、全ゲノム解析に関する情報について、分譲を開始します。 今回の分譲では初めて家系情報が含まれます。 祖父母・父母・児の三世代を通して、健康調査情報、遺伝情報を組み合わせることにより、これまで難しかった遺伝要因及び環境要因が複雑に絡み合って起こる疾病の原因を効率的に探索することが可能になります。 三世代の家系情報の分譲は国内初であり、当計画が目指す次世代医療の実現に向けた個別化予防・医療に貢献すると考えています。 今回分譲するデータは所定の手続きの後、統合データベースdbTMM *4を通してさまざまな条件で検索して閲覧することができます。 また、申請・承認を経たうえで、分譲された情報を用いて申請者の自由な発想に基づいた解析研究を行うことができます。 なお、三世代以上の家系付のコホート調査は海外を含めても珍しく、オランダで約16万人の参加者を得ているLifelinesや、約4万人の参加者を得ている英国のALSPAC研究などが知られていますが、出生からの三世代以上のコホートとしては、当計画による20,000家系以上の取組が世界最大です。 分譲する情報は個人が特定できないよう匿名化したうえで他の研究機関に分譲が可能になるよう、インフォームド・コンセントを取得しております。 本事業は、日本医療研究開発機構(AMED)による東北メディカル・メガバンク計画のもと、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)および岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)によって行われています。 【用語解説】 *1. コホート調査:ある特定の人々の集団を一定期間にわたって追跡し、生活習慣などの遺伝要因・環境要因などと疾病発症の関係を解明するための調査のこと。 三世代コホート調査:ToMMoが2013年7月より開始した、妊婦さんと生まれたお子さんを中心にしたコホート調査。 2017年3月までに7万人以上の参加者を得ている。 世界的に見ても貴重な家系情報付きの大規模コホート調査である。 ベースライン調査:2013年から2017年にかけて実施したリクルート時の調査。 統合データベースdbTMM:2016年4 月に発表した、東北メディカル・メガバンク計画で得られた各種の情報を統合したデータベース。 膨大なデータから高速で検索するほか、集団を層別化して自動的に統計学的な特徴を付ける等の機能を持つ。 tohoku. tohoku.

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東北メディカル・メガバンク機構と日本製薬工業協会が共同研究を開始―予防・先制医療ソリューションの早期実用化を目指して―

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平成24年6月7日 東北メディカル・メガバンク計画検討会 <目次> 1.はじめに 2.東北メディカル・メガバンク計画全体について (1)事業計画について (2)推進体制について 3.各論 (1)健康調査、コホート調査、バイオバンク構築について ア 健康調査、コホート調査 イ 生命倫理、インフォームドコンセント ウ 住民への広報、リクルートに当たっての留意点 エ 生体試料・生体情報の取り扱い (2)ゲノム情報・診療情報等の集約、解析研究 ア 解析研究の手法 イ 解析結果の協力者への回付 ウ 解析研究から得られた成果の共有 (3)本事業に携わる人材 ア 医師の育成、循環型医師派遣 イ コメディカルスタッフ、バイオインフォマティシャンの育成 (4)産学連携、知的財産 4.今後も引き続き検討が必要な課題について 参考資料• 東北メディカル・メガバンク計画検討会の設置について(略)• 東北メディカル・メガバンク計画検討会 委員名簿(略)• 東北メディカル・メガバンク計画検討会 審議経緯(略)• 東北大学実施計画骨子案(略)• 岩手医科大学実施計画骨子案(略) 1.はじめに 「東北メディカル・メガバンク計画」は、東日本大震災で未曾有の被害を受けた被災地において、総務省、厚生労働省の支援によって構築される地域医療情報連携基盤と密接に連携しながら、被災地の方々の健康・診療・ゲノム等の情報を生体試料と関連させたバイオバンクを構築し、創薬研究や個別化医療の基盤を形成、将来的に得られる成果を被災地の住民の方々に還元することを目指す事業であり、平成23年6月の東日本大震災復興構想会議等において、村井宮城県知事から政府に対して要望があったものである。 その結果、被災地の復興に必要な事業として「東日本大震災からの復興の基本方針」(平成23年7月29日東日本大震災復興対策本部)、「日本再生の基本戦略」(平成23年12月24日閣議決定)に掲げられた。 本事業を開始するにあたり、東北大学、岩手医科大学が実施する被災地域を対象とした15万人規模の住民ゲノムコホート、ゲノム情報等の解析の実施計画案について検討し、文部科学省や実施機関等へ提言を行うことを目的として、文部科学省に「東北メディカル・メガバンク計画検討会」を設置した。 本検討会は、平成24年4月、5月に計5回開催され、東北大学、岩手医科大学等の実施主体の実施計画案についてヒアリングした後、その内容について検討、評価を行い、今後実施計画の更なる具体化を進める上で今後留意すべき事項について、提言としてとりまとめた。 また、解析研究等の成果として実現する個々人の特質に対応した個別化医療等の次世代医療の効果は、東北地方に留まらず、我が国全体に波及することが期待される。 そのため、文部科学省をはじめとする関係者が、我が国としての次世代医療体制を構築するために研究開発を推進していく上で、今後検討を継続するべき事項についても、『今後も引き続き検討が必要な課題』として、併せて記載している。 今般、未曾有の大震災により、我が国は甚大な被害を受けるとともに、数多くの尊い人命が失われ、未だ仮設住宅での避難生活を余儀なくされている方々もいるという痛ましい経験をすることになった。 本事業では、被災地への医療関係人材の派遣、健康調査の結果の回付による健康管理への貢献により、被災地の復興に貢献することが喫緊の課題である。 また、地震・津波により甚大な災害を受けた地域を対象とし、その影響を本計画のごとく大規模に追跡するコホート調査は世界でも類を見ない取組であり、特色あるプラットフォームが他地域に先駆けて整備されることで、我が国における将来的な次世代医療の実現や新産業創出のために貢献しうるものである。 この他にも、本事業の実施を通じて、次世代医療の実現に向けた倫理的な問題の検討、ゲノムメディカルリサーチコーディネーターやバイオインフォマティシャン等の人材育成等の効果も期待される。 東北大学、岩手医科大学等の実施機関や文部科学省は、本事業の持つ意義と担うべき大きな役割を自覚しつつ、本提言の内容を活かすとともに、先行してコホート調査やゲノム情報等の解析研究を実施してきた機関も実施機関に協力することで我が国の叡智を結集して実施計画を具体化し、また我が国の当該分野の知見が東北地方に十分に活用され、次世代医療に向けた最先端の研究を未曾有の災害を経験された被災地の方々に最大限の敬意と配慮を払って着実に実行することによって、本事業の最大の目的である被災地の復興と医療イノベーションを牽引する確固たる基盤形成の実現に貢献することを、強く期待する。 2.東北メディカル・メガバンク計画全体について (1)事業計画について 【本事業計画の概要】 本事業では、被災地に医療関係人材を派遣して地域医療の復興に貢献するとともに、15万人規模の地域住民コホートと三世代コホートを形成し、そこで得られる生体試料、健康情報、診療情報等を収集してバイオバンクを構築する。 また、ゲノム情報、診療情報等を解析することで、個別化医療等の次世代医療に結びつく成果を創出する。 さらに、得られた生体試料や解析成果を同意の内容等に十分留意し、個人情報保護のための匿名化等の適切な措置を施した上で外部に提供することや、コホート調査や解析研究を行うための多様な人材を育成することも本事業の実施内容に含まれる。 本事業は、大きく分けて以下の2段階に分けられる。 医療関係人材を被災地に派遣し、被災地を中心とした地域住民の健康調査を実施し、その結果を回付することで、健康管理に貢献する。 それと併せて、地域医療情報連携基盤と連携しつつ、被災地を主な対象にしてゲノム情報を含む地域住民コホートと三世代コホートを形成する。 そこで得られた生体試料や生体情報を保管するバイオバンクを構築し、ゲノム情報等を解析する(第1段階)。 数年後(5年後を目途に)、我が国で実施される他のコホートと連携しつつ、国内外機関への公平な分配とガバナンスの確保された大規模共同研究へと発展させ、ゲノム情報を含めた生体情報や健康情報等の網羅的な基盤情報を創出・共有する。 これを用いて被災地住民を対象とした解析研究等を進めることで、革新的な予防法・個別化医療等の次世代医療を被災地住民に提供することを目指す(第2段階)。 被災地におけるコホート調査は、宮城県内を東北大学が、岩手県内を岩手医科大学が実施主体となって行うが、得られた生体試料は東北大学内のバイオバンクに集約される。 解析研究は、それぞれの機関で役割分担した上で推進する。 本事業は様々な困難が予想されるが、その成果は被災地の復興や次世代医療の実現に向けて大きく貢献するものであり、東北大学を中心とした体制の元、全力で取り組むことを期待する。 その他、事業計画を策定するに当たって留意すべき点として、以下のような事項が挙げられる。 <被災地の復興への貢献>• 本事業は、次世代医療に貢献する国家的プロジェクトでもあるが、千年に一度とも言われる大震災に見舞われた被災地の地域医療の再生・復興に不可欠な医療関係人材の確保や、継続的な健康調査等による住民の健康管理等、震災からの復興に貢献する、という目的を持つことを踏まえた上で事業計画を策定すべきである。 <事業の長期的な運営>• コホート事業は年月をかけて行って初めて成果の出るものであり、健康調査を継続して行うことで価値が高まっていく。 東北大学、岩手医科大学においては、本事業を開始するに当たり、10年間の事業期間のみならず、長期間の運営も視野に入れた検討を行うべきである。 (2)推進体制について 【実施機関の推進体制の概要】 東北大学においては、「東北メディカル・メガバンク機構」(平成24年2月設置)が事業全体の運営を行う。 また、事業に関するアクションプランを作成し、本事業を推進する段階において、課題ごとに有識者を集めたワーキンググループを立ち上げて推進方策を検討するとともに、同機構と独立して外部評価委員会、倫理委員会を設置する。 岩手医科大学においては、「いわて東北メディカル・メガバンク機構(仮称)」を今後設置し、岩手県内の事業の運営を行う。 本事業は、大規模かつ長期に渡るものであるため、推進体制については、長期的な視点を含め、しっかりとした体制を構築すべきである。 また、先行して実施されている様々なコホート調査やゲノム解析事業の知見を活用するために、課題ごとに有識者を集めたワーキンググループの設置は望ましいことと考えられる。 その他、推進体制を構築するに当たって留意すべき点として、以下のような事項が挙げられる。 <事業全体の推進体制>• 事業全体における東北大学と岩手医科大学の関係、またオールジャパンの研究機関がどのように関わっていくのかについて、検討を進めた上で詳細を対外的に明確化していくべきである。 <ワーキンググループの設置>• 本事業を推進するに当たっては、我が国で先行して実施されているコホート調査の経験に基づく知恵が有効に活用されて、オールジャパンとして知が循環・普及されていくような仕組みや、真に関係する分野の専門家が協力できる体制を構築し、事業内に入れ込むことが必要不可欠である。 このため、推進段階からではなく計画段階から、先行して実施されているゲノムコホート、バンク事業やゲノム情報等解析研究の関係者、さらには地域医療支援の関係者が、それぞれ具体的な計画を検討するワーキンググループに参加するような形を早急に具体化していくべきである。 <プロジェクト内に設置される委員会の位置づけと構成>• 国のプロジェクトとしての透明性や公平性を確保し、被災者を含む地域住民の信頼と協力を得るため、倫理・法的・社会的観点の助言を行う組織、及び試料等の配布審査を行う委員会については、中立的な立場で推進できるよう、東北メディカル・メガバンク機構とは独立し、第三者を含んだ組織体制とすべきである。 3.各論 (1)健康調査、コホート調査、バイオバンク構築について ア 健康調査、コホート調査 【実施機関の取組内容の概要】 地域住民コホートについては、実施機関から医師、ゲノムメディカルリサーチコーディネーター等を地域医療機関、保健所、支援センター等に派遣し、対象となる地方自治体で実施する特定健診と連動した形、あるいはボランティアベースで協力者をリクルートし、詳細な健診、採血等を実施する。 また、三世代コホートについては、産科医療機関を受診した妊婦に対してリクルートを実施し、妊婦健診を活用して採血、健康情報の収集等を行う。 父親、祖父母については、産科医療機関を訪問した際にリクルートや採血を行い、詳細な健診は対象地域の支援センターで別途行う。 なお、健診の結果は協力者に回付し、生活指導、こころのケア、受診勧奨を併せて行うことで健康増進に貢献する。 地域住民コホートの参加者については、半年~1年毎に協力者に質問票を送付するとともに、4年に1回程度、地方自治体で実施する特定健診等と連携して協力者に対して詳細な健診を実施する。 三世代コホートの子どもについては、半年毎に協力者に発達の状況や疾患罹患状況を聞くための質問票を送付するとともに、1歳6ヶ月児健診、3歳児健診、学校保健健診時に詳細な健診を追加実施する。 さらに、医療情報のICT化、ネットワーク化を行う地域医療情報連携基盤と連携して、効率的に診療情報を収集する体制を構築する。 7万人規模の三世代コホートを含む15万人規模の前向きゲノムコホートは類を見ない取組であり、世界でも最先端のバイオバンクの構築が期待できることから、着実な実行が求められる。 その一方で、コホート調査を今後実施していくために、まずは地域医療の安定が必須となることや、コホート調査の実施には地域住民や地方自治体の理解が必要不可欠であり、特に本事業は被災地を対象地域としていることに十分留意しなければならない。 そういった意味で、健康調査の結果が協力者の方に回付され、また健康管理に関する様々な取組が行われることは評価できる。 このような観点から、健康調査、コホート調査を実施する際に留意すべき点として、以下のような事項が挙げられる。 <地域医療の復興との連携>• 被災地における直近の目標は、地域医療の復興であり、対象地域の医療体制が十分構築できていなければ、本計画について住民の方の信頼を得られないため協力者の確保はおぼつかず、仮に協力していただける住民の方がいたとしても、一定の質が担保された健康情報、診療情報等を長期間追跡することも困難である。 今まで、仮設診療所の設置や後方支援病院の協力等により、入院・外来の診療が提供されており、国の財政支援によって被災地の住民の方の健康を守るための様々な施策が実施されてきたが、本事業の実施に当たっても、まず対象地域の医療の安定や住民の方に安心をもたらす環境を醸成した上で、推進されるべきである。 <地方自治体の協力>• コホート調査は対象地域の地方自治体に相当の負担をかけることになるため、調査の対象となる地方自治体の協力が必要不可欠である。 長浜コホート では、対象地域の長浜市と実施機関の京都大学の間で協定書を作成し、市議会での議論を経て条例も策定しており、こういった地方自治体との連携事例を参考にして地域での同意を形成することが重要である。 地域の医療を充実させて信頼を得るとともに、その地方自治体の実態を把握し、特定健診等に従事している保健師等の理解を得ることが必須と考えられる。 <医療情報のICT化との連携>• 10万人以上の被災地の住民の方の健康情報を精度よく追跡するためには、医療情報のICT化が必要であり、総務省、厚労省の支援によって実施される医療情報のICT化との協力体制についてさらに具体化していくべきである。 <コホート事業の目的の明確化と制度設計>• コホート事業の目的について明確化した上で、それぞれのコホートでどれだけの検体を収集し、そのうち何%の検体で、どの疾患を対象としてどのような戦略でゲノム解析を実施するかといった制度設計について具体化する必要がある。 三世代コホートについて、計画が真に妥当なものとなるよう、統計遺伝学等の専門家の意見も取り入れつつ検討し、具体化していくべきである。 <コホート事業の進捗管理>• 本事業で実施されるコホート事業は大規模なものであるため、事業を推進していく上で必須となる人数をあらかじめ決定し、その上で進捗管理をしっかりと行うことが必要である。 <他のコホート調査との連携>• 本事業を実施するに当たっては、2.(2)推進体制 でも述べたように、先行して実施されているコホート調査の知見の活用や、そこで得られた成果と本事業で得られた成果との比較を行うことが重要である。 それらを可能とするためには、事前に先行して実施されているコホート調査との間で、出来る限り調査項目や回答様式等の共通化を図るとともに、回答様式が違う場合の結果の比較評価等も行う必要があるため、他のコホート調査の関係者が加わったワーキンググループでの議論や先行して実施されている研究の結果等を通じて調整すべきである。 <住民の方の健康管理への貢献>• 本事業は被災地を対象地域とするため、コホート調査として実施する健康診断や診療情報等の追跡によって、多くの被災地住民の方の健康を親身になって長期間にわたって見守り、疾患の発症またはその兆候に気づいたら速やかに何らかの手立てを行うことで、被災地の住民の方の健康管理に貢献し、信頼を得ていくべきである。 被災地の住民の方の健康管理に貢献するための手立ても一つの環境要因としてとらえて評価し、コホート研究としての有意義な成果を創出することが可能となるような手法を検討していくべきである。 <震災影響を検証するためのコホート調査>• 環境要因が震災の影響なのか、それとも普遍的なものなのかを正しく検証するためにも、被害を受けていない地域における検証コホートの活用を行うべきである。 また、それぞれの地域の特性を活かした比較を行うことも検討していくべきである。 <環境要因に関するデータ収集の手法>• 環境要因に関するデータについて、科学的な検証に耐えうる収集方法について検討するワーキンググループを設置することも検討していくべきである。 疾病発症後の予後を決定する遺伝因子並びに環境因子を捕捉するために、疾患発症後の追跡を行うための手法を検討していくべきである。 イ 生命倫理、インフォームドコンセント 【実施機関の取組内容の概要】 インフォームドコンセントについては、将来想定され得る生体試料等の提供や個別化医療等の実現に向けた研究を含む同意取得、医療情報ネットワークを通じた診療情報収集に対する同意取得等の考え方について、先行して実施されているコホートの事例を踏まえて早急に暫定版を作成し、パイロットスタディーを通じて見直した後、確定する。 また、個人情報、生体試料の保存方法、対応表の管理、遺伝情報の開示等については、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」等の内容も踏まえつつ、先行して実施されているコホート事業の例も参考にながら具体化する。 なお、東北大学と岩手医科大学は、同一のインフォームドコンセントを取得する予定である。 最終的なインフォームドコンセントは、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針 」の内容を踏まえつつ、パイロットスタディーの結果も踏まえて具体化される予定だが、本格的な調査が開始された後にインフォームドコンセントを変更することは困難である一方、収集された生体試料や各種情報を用いた研究内容やその実施機関等についてはインフォームドコンセントの内容に大きく左右されるため、本格的なインフォームドコンセントについては、先行しているコホート調査の事例を参考にしつつ、十分に検討された上で作成されるべきである。 なお、生命倫理に関する事項については、検討すべき課題や方針を明文化するだけであれば簡単だが、具体的に実行していくことは困難を伴う。 このことを踏まえ、本事業では、以下に記載されている事項が着実に実施されるよう、現場で取り組んでいくことが求められる。 このような観点から、生命倫理、インフォームドコンセントに関して留意すべき点として、以下のような事項が挙げられる。 <各種指針の遵守>• 本事業を実施するにあたっては、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」、「疫学研究に関する指針 」等、関係する指針を遵守する必要がある。 <倫理的課題を扱うワーキンググループの必要性>• インフォームドコンセントの取得方法といった倫理に関する課題については、先行して実施されているコホートの知見を活用するため、ワーキンググループを設置し、専門家の議論も踏まえた上で具体的な運用を図るためのルールを決定していくべきである。 <将来的な研究利用に対する同意等>• 我が国の将来における個別化医療等の実現に極めて重要な役割を担う将来的な研究利用に対する同意の考え方については、我が国のスタンスを示すひな形を作成するといった心構えで取り組んでほしい。 得られた生体試料やゲノム情報等は我が国の医療の推進に貴重な財産となるべきものであるため、他のコホート事業や研究機関との連携を可能とするよう、民間企業を含む幅広い機関が研究に活用できるようなインフォームドコンセントの取得について検討していくべきである。 <実質的な同意取得>• 住民の方からインフォームドコンセントを取得する際、強制力が働かないような適切な説明方法等、対外的に見えない倫理面についても十分に留意し、実質的な同意取得が行われるようにすることが必要である。 ウ 住民への広報、リクルートに当たっての留意点 【実施機関の取組内容の概要】 本事業の目的、意義、成果等を対象地域の住民の方に幅広く理解いただくため、サイエンスコミュニケーション能力を持つ人材を活用して、対象地域においてシンポジウム・説明会等の実施、各種印刷物の発行・頒布、映像の作成・供覧、ウェブサイトの構築と運用、メディアと協力した周知活動、展示会等への出展、各種ソーシャルメディアの運用等を行う。 また、地方自治体や地方医療機関等とも連携し、イベントにも相乗りや出展等、一体的な活動を行う。 医療系スタッフは、採用後、必要な教育、研修を受けた後、地域医療の支援、コホート調査等に従事する。 本事業を実施するに当たって、対象地域の住民の方に本事業の持つ様々な意義を理解いただくことは重要な意味を持つため、実施機関は、対象地域への広報活動に積極的に取り組むべきである。 そうした観点から、実施機関が予定している地方自治体や地方医療機関等との連携、サイエンスコミュニケーション能力を持つ人材の活用は評価できる。 一方、現場で住民の方に説明し、同意取得を行う現場の医療系スタッフへの教育についても同様に重要であり、取組内容を早急に具体化することが求められる。 このような観点から、住民への広報、リクルートを行うに当たっての留意点として、以下のような事項が挙げられる。 <住民の方への本事業の意義の広報>• 本事業は適切な同意を取得した上でゲノム情報も併せて収集するゲノムコホートであることから、ゲノム情報の持つ意味といった基本的なことから、それらの情報の解析がもたらす被災地の復興、我が国の次世代医療の実現への貢献まで、本事業が内包する多様な意義についても説明を行い、理解をしていただきながら推進していくべきである。 ゲノムコホートを実施することで将来的なことも含めて何が実現するのかについて、わかりやすく伝えるような広報戦略を考える必要がある。 <現場のメディカルスタッフへの教育>• 本事業が内包する多様な意義について、実際に現場で住民の方に接する医師・看護師等のメディカルスタッフが、住民の方に本事業の持つ意義について自信を持って説明することが可能となるよう、メディカルスタッフに事前に十分な教育を行い、理解いただくことが非常に重要である。 ゲノムコホートの持つ意義を理解したメディカルスタッフは、将来の地域医療を支える貴重な人材にもなり、そういった人材を育成できるように本事業を推進していくべきである。 メディカルスタッフへの教育の具体的な実施方策を早急に検討し、提示すべきである。 <サイエンスコミュニケーション能力のある人材の活用>• このような取組の実施に当たっては、先行して実施されているゲノムコホートの例も大いに参考にしつつ、サイエンスコミュニケーション能力のある人材を活用して実施していくことが必要である。 エ 生体試料・生体情報の取り扱い 【実施機関の取組内容の概要】 東北大学のバイオバンクに収集された生体試料と関連情報は、試料分配審査委員会で研究計画等の審査を経て、匿名化等の適切な処理を経た上で原則として提供される。 試料分配審査委員会は実施機関を中心として有識者によって構成される。 また、岩手医科大学にバックアップ施設を設置することも検討する。 本事業で収集される生体試料・生体情報については、被災地の復興につながる研究開発を推進する上で貴重な資源となるのみならず、我が国の次世代医療を目指す研究を推進する上で基盤的な役割を果たすことも期待されているため、実施機関が予定している公平な審査を経た上で分配される体制は望ましいと考えられる。 その他、生体試料、生体情報の取り扱いに関する留意点として、以下のような事項が挙げられる。 <生体試料の活用方法>• 生体試料は限りのある貴重な資源であることから、様々な活用法について十分に時間をかけて検討する必要がある。 <先行するバイオバンク事業との連携>• 先行するバイオバンク事業が保管している生体試料・生体情報と本事業で収集される生体試料・生体情報について、提供者のインフォームドコンセントの内容等に十分留意した上で相互利用や補完性を担保するシステム構築の検討を行うべきである。 <バックアップ体制>• 本事業で収集される生体試料・生体情報といった貴重な資源について、地震、津波等の災害で失われないためのバックアップ体制を検討し、具体化すべきである。 (2)ゲノム情報・診療情報等の集約、解析研究 ア 解析研究の手法 【実施機関の取組内容の概要】 東北大学においては、震災の影響を受けて今後被災地で増加することが懸念され、発生頻度の高いPTSD、うつ病等の精神疾患、感染症等について、健康調査の結果やゲノム情報等の解析を行い、それらの疾患に関連する環境要因や遺伝要因を探索するとともに、発症の寄与度を決定する。 また、数千人の全ゲノムを解読し、遺伝子多型リストを作成して、日本人にどのような頻度でどのような遺伝子多型が存在するかを明らかにした上で他の研究機関と共有することで、疾患関連遺伝子の抽出に対する対象配列とすることが可能となり、我が国における次世代医療を実現する研究を推進するための基盤を構築する。 さらに、参加者を追跡する中で、子どもへの健康影響が大きく発生頻度の高いアトピー性皮膚炎、ADHD、喘息、自閉症や国民の関心の高い脳血管障害・虚血性心疾患などの循環器疾患、がん等と診断された参加者を中心としたゲノム情報等の解析を行い、それらの疾患に関連する遺伝子を探索するとともに、曝露された環境要因も併せて解析することで、それらの発症への寄与度を決定していく。 さらに、成長に伴って遺伝子発現が変化することを考慮に入れ、小児疾患を対象に、疾患関連遺伝子、環境要因との相互作用によって惹き起こされる血清中に分泌されるタンパク質等の変化をゲノム、トランスクリプトームと併せて解析することで、診断マーカーの特定等を行い、次世代医療の実現に資する成果を創出することを目指す。 岩手医科大学においては、例えば、ストレス関連疾患である精神疾患、脳卒中、心疾患、自己免疫疾患等の発症例について、個人レベルのストレス応答性とゲノム情報との関連を様々な手法を用いて解析し、次世代医療の実現に資する成果を創出することを目指す。 本事業は、被災地を対象とした大規模な三世代コホートを含む前向きゲノムコホートであり、今まで実施されてきたコホートにはない特徴をいくつも含んでいるため、それらを最大限に活かせるような戦略をもって解析研究を実施していくことが望まれる。 その中でも、実施機関が予定している被災地特有の疾患や小児期に発症する疾患に関するゲノム情報等の大規模な解析は今まであまり取り組まれてこなかったテーマであり、ゲノム情報等を追跡して得られる診療情報、健康情報と併せて解析されることで何らかの成果が創出されることが期待できる。 一方で、我が国では様々なゲノム情報等の解析研究が実施されており、これらの先行して実施されている事例と連携しながら推進していくことが求められる。 このような観点から、解析研究の手法に関する留意点として、以下のような事項が挙げられる。 <解析技術の向上、新たな知見の発見への対応>• 今後、短期的にシーケンサーの技術も向上していくことが予想されており、さらに、既に実施された全ゲノムシーケンスの結果から、SNV 以外の多型もかなり高頻度で存在することが判明しているため、今後の技術革新、新たな知見の発見の可能性を考慮にいれながら、解析研究に関する計画を検討すべきである。 <生物学的な研究の必要性>• 本事業で解析対象として挙げられている疾患は環境要因の影響が大きいと考えられるものが多いが、まだ環境要因の具体的な検証システムが確立されているとは言い難いため、コホート調査による観察研究だけでなく、環境要因が疾患の発症機序にどう関わるかについて生物学的に解析する体制も構築すべきである。 生物学的な研究を実施する際、対象が広範になりすぎないように、評価体制の構築等を通じて「選択と集中」の観点から生物学的な手法で取り組む対象疾患を優先順位付けし、実施順を明確にすべきである。 <オミックス研究>• オミックス研究については、様々な研究内容が実施内容として挙げられているが、その手法はまだ確立されているとは言えず、データも複雑であることが想定されるため、「選択と集中」の観点から優先順位をつけて取り組むべきである。 また、オミックス研究に関する手法は我が国の様々な研究機関ですでに開発されているものもあり、本事業の実施内容がそういった基礎技術、技術基盤の発展に貢献するようなものとなるように推進体制を含め留意すべきである。 <コホート調査の規模に応じた研究内容の検討>• 本事業は次世代医療の実現を目指す革新的な内容であり、大変挑戦的な内容であるため、目標を達成するために実施機関である東北大学、岩手医科大学が最大限の努力を払うことが大前提であるが、仮にコホート調査の規模が目標を達成できなくても科学技術的に意義のある成果を創出するため、目標に満たないデータ量でも、その段階に応じた解析を行うための検討も併せて行うことも検討すべきである。 イ 解析結果の協力者への回付 【実施機関の取組内容の概要】 ゲノム情報等の解析結果の協力者への回付については、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」等の内容も踏まえつつ、先行して実施されているコホート事業の例も参考にしながら具体化する ゲノム情報に関する解析結果の協力者への回付については、疾患の兆候を検知した場合に協力者に情報提供できるというメリットがある反面、協力者の生命、身体、財産その他の権利利益を害する恐れがある場合も想定される。 そのため、本格的な解析研究を実施する前に、専門家によって慎重に検討される必要がある。 このような観点から、解析結果の協力者への回付に関する留意点として、以下のような事項が挙げられる。 <専門家による慎重な検討の必要性>• 全ゲノム情報を解析することによって、潜在的には非常に重篤な疾患の原因となる遺伝子変異の存在が明らかになる可能性があるが、それらは協力者の人生を大きく左右する機微情報であるため、得られる遺伝情報の特性を踏まえ、当該遺伝情報が協力者の健康状態等を評価するための情報としての精度や確実性を有しているか否か、当該遺伝情報が協力者の健康等にとって重要な事実を示すものかどうか、また当該遺伝情報の回付が研究業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがないかどうかという点に配慮する等、慎重な対応が求められる。 そういった状況について勘案しつつ慎重な検討を行うために、様々な疾患領域の専門家を集めたワーキンググループを立ち上げ、国際的な動向も踏まえながらインフォームドコンセントの取得方法を検討する段階から議論を始め、考え方を事前に整理しておくべきである。 ウ 解析研究から得られた成果の共有 【実施機関の取組内容の概要】 遺伝子解析の結果得られたデータについては、一部はバイオバンクに収納し、生体試料と同様に扱われる。 ゲノムの解析から得られた基盤的情報等については、公開に関するルールを作成した上でその公開を検討する。 生体試料・データのカタログと集団として解析した結果については、原則として広く公開する。 遺伝子解析の結果得られるデータについては、被災地の復興につながる研究開発を推進する上で貴重な資源となるのみならず、我が国の次世代医療を目指す研究を推進する上で基盤的な役割を果たすことも期待されているため、実施機関が予定しているように、匿名化等の適切な処理を経た上で公開されることが望ましいと考えられる。 このような観点から、解析研究から得られた成果に関する留意点として、以下のような事項が挙げられる。 <解析研究から得られた成果の取り扱い方法の具体化>• 解析研究の結果得られた成果の取り扱い方法について早急に検討し、具体化していくべきである。 特に、コホート事業によって得られた情報について、どこまでをオープンにし、どこからコントロール下におくのかについて、専門家を集めたワーキンググループを作り、議論することが必要ではないか。 <他のコホート事業との整合性の確保>• 他のコホート事業との連携という観点から、データの整合性も考慮して設計すべきである。 (3)本事業に携わる人材 ア 医師の育成、循環型医師派遣 【実施機関の取組内容の概要】 医師は、全国の大学等に様々なネットワークを通じて支援を依頼するとともに、全国規模の公募で確保する。 東北大学から対象地域に派遣される医師は、例えば1年のうち4ヶ月は地域においてリクルート活動を行うとともに、医療者として地域医療機関を支援し、残りの8ヶ月を東北大学で研究や教育を行う(循環型医師派遣)。 対象地域の医療機関にアンケートを実施し、地域のニーズに基づいた配置を行う。 被災地域である東北地方の沿岸部は、被災前から医師不足が大きな課題となっていた地域であり、循環型医師派遣によってこれらの地域に短期的に医師が派遣されることは地域医療支援の観点から評価できる。 一方で、地域医療を支える医師が長期的に当該地域に定着することが将来の医療復興には必要不可欠であるため、将来的な医師の育成に関する取組についても求められる。 このような観点から、医師の育成、循環型医師派遣に関する留意点として、以下のような事項が挙げられる。 <循環型医師派遣>• 対象地域での派遣期間と学内での教育、研究を行う期間がそれぞれ4ヶ月、8ヶ月とされているが、例えば、より被災地に貢献したい、という思いを持っている人材も含まれている可能性があり、この期間はあくまで目安として被災地現場の状況等により弾力的な運用とすべきである。 <長期的な医師育成の取組>• 地域医療を担い、将来的にコホート調査の現場を支えることになる人材と、ゲノム研究に興味があり、将来的に分析研究等に関わっていく人材では、多くの場合インセンティブが異なる。 元々東北地域においては医師を含む医療関係人材の不足が震災以前も深刻な問題になっていた中で、現実的な対応として、循環型医師派遣は非常に有効なアイディアだが、このように異なるインセンティブを持った人材が存在する中で、長期的な視点から地域医療に軸をおいた医師の育成に関する方策も今後具体化を進めていくべきではないか。 イ コメディカルスタッフ、バイオインフォマティシャンの育成 【実施機関の取組内容の概要】 看護師、ゲノムメディカルリサーチコーディネーター等については、採用後、必要な教育、研修を行った後、地域医療の支援、コホート調査等に従事する。 平成24年度より、東北大学に「臨床研究支援者育成コース」を開設し、ゲノムメディカルリサーチコーディネーター等の人材の育成を行う。 将来的には公衆衛生大学院を開設し、遺伝カウンセラー等の養成を行うことを目指す。 さらに、「オープン教育センター」を開設し、外部に開放した形での短期間の教育・研修も実施することで、本事業で獲得された知識、技術を広く共有することを目指す。 バイオインフォマティシャンについては、支援機関からの派遣、全国規模の公募、実施機関による育成等を組み合わせて確保する。 本事業には、医師の他にも、看護師、保健師、ゲノムメディカルリサーチコーディネーター、サイエンスコミュニケーター、バイオインフォマティシャン等、多様な人材の参画が必要となる。 特に、ゲノムメディカルリサーチコーディネーターやバイオインフォマティシャンは、我が国全体から見ても不足しており、本事業を通じた育成が不可欠となることは明白であるため、実施機関が主体的に取り組んでいくことが求められる。 このような観点から、コメディカルスタッフ、バイオインフォマティシャンの育成に関する留意点として、以下のような事項が挙げられる。 <キャリアパスの明確化>• 本事業に係る多様な人材を育成するためには、職種別の人材の5年後、10年後の多様なキャリアパスを具体的に示し、積極的に発信していくべきである。 <バイオインフォマティシャンの育成>• バイオインフォマティクスの分野は、情報工学と生命科学の融合領域であり、既存の学問領域の枠を超えて、両者の異なるアプローチや知見を持ち寄ることによって初めて、研究開発を行うことが可能となる。 バイオインフォマティシャンの育成については、優れた人材を確保できるよう、キャリアパスの構築を目指し、制度設計や環境整備を行う必要があり、例えば東北大学、岩手医科大学に限らず他の研究機関とネットワークを構築し、現場のデータの解析とそれらの情報を用いた研究の場を行き来するような循環型の仕組みや、バイオインフォマティシャンを養成できる他の機関と連携した教育システムの構築が有効だと考えられる。 (4)産学連携、知的財産 【実施機関の取組内容の概要】 インフォームドコンセントについては、民間企業による創薬研究等への利用も含みうるゲノム情報等の利用に対する同意取得の考え方について、先行コホートの事例を踏まえて早急に暫定版を作成し、パイロットスタディーを通じて見直した後、確定する。 また、知的財産の帰属等については、先行コホート事業の例も参考にしながら具体化する。 本事業のようなバイオバンク事業を長期的に継続していくためには、将来的な民間企業の参画が想定されるため、創薬研究等への利用も含みうる方向でインフォームドコンセントを検討していくことは望ましいと考えられる。 今後実施される検討の中で、産学連携、知的財産について留意すべき点として以下のような事項が挙げられる。 <知的財産に関する方針の決定、人材の確保>• 本事業で将来的に民間企業等による事業化につながる成果として、診断マーカーやオミックス解析による創薬シーズ等が想定される。 これらの成果が実際に事業化される際には知的財産の取り扱いが重要となるため、専門家を集めたワーキンググループを設置して今後知的財産の利用に関する方針を決定するとともに、そういった問題に精通した人材の確保、特許出願の戦略的な進め方といった点についても検討することが必要である。 また、知的財産の利用に関する方針は、インフォームドコンセントやゲノム等解析研究等、他のワーキンググループで検討される事項の詳細にも影響を受けるため、それらのワーキンググループと連携した形で議論が進むような体制を検討すべきである。 4.今後も引き続き検討が必要となる課題 本事業は、我が国で最大規模の住民(前向き)コホートとなることが想定される。 住民コホートと疾患コホートでは、後者では疾患関連遺伝子を効率的に同定出来る一方、前者では疾患発症前の詳細な健康情報を併せて解析することが可能であるなど、それぞれの特徴と長所が存在する。 将来的に個別化医療等の次世代医療を実現するためには、疾患コホートによって疾患関連遺伝子候補を同定し、次に住民コホートでその疾患関連遺伝子候補と環境要因の相互作用を解明するという、それぞれの特徴を活かした役割分担に基づいて両者が推進されるような我が国全体のコホート研究のグランドデザインが必要となる。 また、そのようなグランドデザインを描いていくためにも、すでに様々な機関で実施されているコホート調査、ゲノム等解析研究の連携方策等のあり方をオールジャパンで議論し、方向性を決める場を設定することが必要と考えられる。 さらに、本事業も含め、今後様々な事業で得られることが想定される低頻度変異の解析研究から、いかにして個別化医療等の次世代医療を実現していくかについて、その道筋を明確にしていく必要がある。 本事業を含めた我が国全体のコホート調査、ゲノム等解析研究の成果を集約できる体制を構築することで、限りある資源を有効に活用しつつ次世代医療の実現につなげていくためにも、これらの事項については、今後も引き続き検討が必要な課題として文部科学省をはじめとする政府関係者によって検討されることが望まれる。 お問合せ先.

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