ショパン バラード3番。 ショパン / Chopin, Frederic

【ショパン】ショパン作曲「バラード第3番Op.47」の解説と演奏法

ショパン バラード3番

バラード第1番ト短調Op. 23 演奏時間 8' 46'' ショパンの4曲のバラードの中で特に人気が高いのが、この第1番です。 序奏の後に現れるト短調の憂鬱な第1主題と、技巧的なパッセージを挟んで現れるロマンティックな変ホ長調の第2主題が、 登場するたびに形を変え、特に第2主題の発展を主体として曲の後半に向かって華やかで劇的なドラマを築き上げる名曲です。 難易度も非常に高く、特に曲の後半、第2主題がイ長調で高々と再現される部分以降が技巧的ですが、 それ以上にコーダの跳躍の連続が難しい部分です。 曲の至るところに技巧的なパッセージがちりばめられていて、 取り組むたびに難しさを感じます。 今回も部分練習と弾き込みにかなりの時間を費やして、 鑑賞に耐える演奏を目標に汗を流して練習しましたが、他の曲とは比べ物にならないくらい練習が疲れました。 バラードはどの曲も難易度が高く、本格的に仕上げようとすると一大決心が必要ですね。 バラード第3番変イ長調Op. 47 演奏時間 7' 26'' ショパンの4曲のバラードはいずれも劇的、情熱的で規模の大きい作品ですが、その中にあってこの曲は比較的規模が小さく、 粋で典雅な趣を持つ作品です。 このテーマに付随して美しい楽句も次々に登場し、 何度も転調をしますが、再び変イ長調に戻ってこの第1部が締めくくられます。 第2主題はハ長調で登場し、軽快で優雅な旋律です。 この第2主題部が終わると、突然変イ長調に転調し、右手の速いパッセージの部分を過ぎると、左手のアルペジオの伴奏に乗って、 右手で極上の美しい旋律を奏でる部分となります。 ここがこの曲の中で僕が一番好きなところです。 その後、変イ長調で第2主題を再現した後は、嬰ハ短調に転調して次第に盛り上がり、嬰ハ短調で分散和音が連続する部分が この曲中、一番の難所です。 その後はコーダに向かって不安定な楽句が続きますが、ここは左手の音型が広域にまたがっているため、 地味に難しい部分です。 そして次第に高揚した後は和音中心の華やかなコーダを迎えて、華麗に締めくくられます。 ショパンの4曲のバラードの中では、個人的には最も弾きやすいとは思いますが、やはりかなりの難曲です。 技術的な難所は、やはり後半に集中しているため、ここを集中的に取り組むことが仕上げる上で重要となります。 バラード第4番ヘ短調Op. 52 演奏時間 10' 56'' この曲はショパンの4曲のバラードの中で最も規模が大きく、豊かで深い内容を持つ作品で、ショパンの最高傑作の1つに数えられる名曲です。 同時期の作品として、英雄ポロネーズ、スケルツォ第4番、即興曲第3番などがあり、ショパンの創作力が最も充実していた 円熟期の作品です。 曲は自由な構成となっていて、ハ長調の序奏の後にヘ短調の第一主題が登場した後、それをモチーフとして 経過句や他の主題を挟んで効果的に変奏されます(第1変奏:和音型、第2変奏:パッセージ型、ともにヘ短調)。 その間には変ロ長調のコラール風の第2主題が現れ、 これは第1主題の第2変奏の直後に、変ニ長調に移調して効果的な左手の速い伴奏を伴って変奏され、そのまま終わりに向かって 突き進みます。 また第2主題登場後にはこの曲に一度しか登場しない楽句が長く置かれていたかと思うと、今度はハ長調で登場した 序奏がイ長調に移調して現れたりと、本当に自由で複雑な構成となっています。 コーダの前には束の間の静寂があり、 嵐のような激しいコーダによってこの大曲が締めくくられます。 全体的に詩的で内省的な趣を持つバラードですが、哀愁極まる旋律から華やかで演奏効果の高いパッセージまで、 あらゆる楽想を盛り込んだ、実に「欲張り」な1曲です。 難易度的にはショパンの4曲のバラードの中で最も高いというのが 定説のようですが、もちろん個人差はあると思います。 高校1年のときに初めて取り組んで以来、 本格的にこの曲に取り組んだのは今回が5度目ですが、 皆さんに聴いてもらうというはっきりとした目的があったので、今回が一番気合が入りました(この演奏もまだ納得できない部分がありますが…)。 まだまだこれからも一生弾き続けていきたい曲です。

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【ショパン】今更聞けないショパンの傑作集7選

ショパン バラード3番

そうなんだけど、終わりはイ短調なんだよね。 バラード第2番Op. 38はヘ長調で書かれていますが、終わりはイ短調になっています。 なんとも不思議な作品ですね。 坂の上から魔女が追いかけてくる、という内容のバラードですし…。 水の精 オンディーヌ 伝説のバラード 水の精とは人魚に似た存在でしょうか。 海ではなく、湖畔に住んでいる水の精は妖艶で、岸辺の男をたぶらかして遊んでいます。 男は見かけに騙される人間なのでしょうか、すぐその気になってしまいます。 すると妖艶な水の精は本来の姿に戻り、男を喰らいます。 ある意味、男を喰らうのをやめられないのですね…。 しかし、このバラード第3番では男を喰らいません。 なんと、水の精が惚れるほどのイケメン紳士が水の精に迫ってきたのです。 喰らってしまいたい葛藤に見舞われるオンディーヌでしたが、なんと男と結婚することを決めたのです。 それが、この作品が長調で終わる理由なのです。 オンディーヌが男を喰らった喜びを表現しているのだったら、私はショパンの感性を全力で疑います。 ショパン円熟期の最初期の作品 ショパンの作品は優れた作品が多く、前期の作品にもバラード第1番Op. 23や前奏曲集Op. 28などがあります。 しかし、ショパンの叙情性や書法の点で円熟を迎えるのはやはり後期です。 ポロネーズ作品Op. 44や幻想曲Op. 49、バラード第4番Op. 52にスケルツォ第4番Op. 54、ポロネーズ第7番Op. 61は全て後期の作品です。 そんな中のバラード第3番Op. 47は円熟期の先駆けのような作品です。 ショパン作曲「バラード第3番Op. 47」の演奏集 シャルル・リシャール・アムランのバラード 前回のショパン国際ピアノコンクールで第2位とソナタ賞を受賞したシャルル・リシャール・アムランの演奏。 日本では「テディベア」と呼ばれていたそうで、温かさのある音色が特徴です。 ショパン作曲「バラード第3番Op. 47」の弾き方 場面にあったバラードを考えること バラードとは日本語で「 譚詩曲 たんしきょく」。 は?読めねぇから?って感じですが、要するに物語性です。 水面に葉が1枚落ち、波動が広がります。 波動は行っては帰って来て、また行く。 オンディーヌはまた男を探しに水面へ来てみるとあらびっくり!今まで喰らって来た中で断トツの騎士が! どう誘惑しようかしら、でも喰らってしまいたい気持ちもある。 とりあえずいっしょにダンスでもいかがですか? こんな風に、物語は展開することにより進んでいきます。 「起承転結」ですね。 この作品の起承転結はこの言葉を知っていたのか、というくらいわかりやすく書かれているので、考えてみてくださいね。 承が2個あるような感じだけど 嬰ハ短調のところが難しい このバラード第3番で1番難しいところは起承転結でいうところの「転」の嬰ハ短調の部分です。 ここは序盤の左手から和音地獄の右手までフルに難しい箇所です。 以前記事にした「指を伸ばして弾いてミスタッチをなくす」練習が必要です。 そもそも指を伸ばすと黒鍵の感覚をつかみやすくなり、また黒鍵と黒鍵の間にゆびが入りやすくなります。 ショパンは、特にバラードでは1曲につき超難しいところを作っているのですが、それは人間が弾ける限界を狙っているようです。 テンポに気をつけること ショパンの作品は、実はあまりテンポの変化は必要ありません。 というのも、テンポの変化が必要ならばきちんとテンポの指示を書いているからです。 むやみなテンポの変化は曲の威厳を損ねます。 むしろ難しいところは少しテンポを落とすくらいの気持ちで良いんですよね。 まとめ ショパン作曲のバラード第3番変イ長調Op. 47を解説していきました。 ミツケヴィチの詩が原作で、このバラードでは水の精は男を喰らいません。 ショパンの4つのバラードで唯一のハッピーエンドの作品です。 難所は「起承転結」の「転」で、嬰ハ短調の部分。 ここは指を伸ばして鍵盤の位置感覚を養う練習が必要です。 これについては既にまとめてあるので、ぜひ一読してくださいね!.

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【ショパン】今更聞けないショパンの傑作集7選

ショパン バラード3番

ショパン バラード ショパン:バラード Frederic Chopin : Ballades バラードは元来、歌曲の1ジャンルです。 物語性のある詩を吟遊詩人が竪琴などで弾き語りをするのが中世の伝統的なバラードのスタイルでした。 しかしショパンといえばピアノの詩人です。 そこで、ショパンはバラードを歌詞のないドラマティックなピアノ音楽として独り立ちさせました。 そう、ショパンが器楽におけるバラードの創始者なのです。 それでは、ショパンのバラードとはどんな曲なのでしょう? 実際に聴いてもらうのが手っ取り早いのですが(笑)、歌詞のないピアノ曲といっても、ポーランド人の友人が作った詩からインスピレーション受けて作曲したと伝えられており、いずれも起承転結のあるドラマティックな曲想が印象的な傑作です。 演奏時間は10分前後とソナタ作品に次いで規模が大きく、ショパンの魅力や才能が存分に発揮された作品ということができます。 なお、ショパンの他の作品とバラードの相違点は、以下のようになります。 ・マズルカやポロネーズのようなポーランド民謡が由来ではない ・ワルツやノクターンのようにサロンで演奏される小曲を目指してはいない ・複数楽章や組曲でなく、単一の曲である すなわち、ピアノによる1曲の独立した純粋な絶対音楽を目指しているということになります。 ショパンは生涯で4曲のバラードを作曲しましたが、これらには関連性はなく全く別個に作られたものとされています。 また、舞曲由来ではないバラードですが、すべての曲が3拍子系になっており、旋律そのものに微妙な舞踊性を残しているのがポイントとなります。 この辺りのショパンのバランス感覚は驚くべき物があります。 なお、リストやブラームスも、おそらくはショパンに影響されてピアノ曲としてのバラードを作りました。 しかし彼らの曲は演奏される機会が少なく、バラードと言えばショパンということになっています。 もっとも、これはバラードに限った話ではなく、ポロネーズと言えばショパン、マズルカといえばショパン、スケルツォと言えばショパン、ノクターンと言えばショパン・・・といった具合です(笑)。 あらゆるジャンルで傑作を生みつづけたショパンの才能には敬服するしかありません。 ショパンは「別れの曲」「革命のエチュード」「英雄ポロネーズ」など通称名の付いたポピュラーな曲が有名ですが、これらは作曲者本人の命名ではありません。 これらの曲に感銘を受けた人たちが命名しているわけですが、ショパン自身はむしろ標題音楽には否定的でした。 音楽はあくまでも音楽であり、曲の成立した背景や包含される内容については演奏者や聴き手にすべてを委ねるべきである・・・というのがショパンの考え方だったのです。 そういったショパンの考える「絶対音楽」に対する意識が最も反映されたのが、このバラードです。 4曲にはタイトルは付いていませんが、これらの傑作を聴いて何の感情も呼び起こされない人などいません。 安易にタイトルを付けるのではなく、言いたいことを音符に託して表現する。 バラードは音楽に対して厳しい姿勢を貫いたショパンの想いが込められた作品なのです。 第1番 作品23 いきなり低音がドーンと鳴り響き、オクターブで謎めいた旋律を奏でるという、たいへん印象的な始まり方をします。 ショパンの大きな曲には大抵序奏が付いているのですが、その典型とも言えるものです。 次に主題が入ってきます。 物憂げで寂寥感の漂う、いかにもショパンらしいメロディです。 バラード1番はソナタ形式に近いのでこれを第一主題と呼びますが、ショパンのソナタ2番では第一主題は比較的短い小節数ですぐ第二主題に入ってしまいます。 ところがこの曲は、第一主題のまま思い切り長く焦らされます。 これがショパン一流のためらいなのです。 高揚しかける感情、しかしすぐ憂鬱さが戻ってしまう。 再び高まるけれども、またしても物憂げに沈んでいく。 しかしオクターブの動機をきっかけに徐々に感情の高まりを見せ、爆発するアルペジオとなって第一主題を締めくくります。 ショパンのお好きな人は、たいてい第一主題の段階でこの曲の虜になってしまうと思いますが、曲が進むにしたがって甘美な第二主題、充実した展開、激情のコーダといったまさにドラマティックな展開が待っています。 ぜひ聴いてみてください。 第2番 作品38 ソナタ形式に近かった第1番とはだいぶ違い、ABAB+コーダのシンプルな構成となっています。 夢想的なA部と嵐のようなB部の対比が際立ち、聴く人に強い印象を与える曲になっています。 ヘ長調のドミナントであるハ音に導かれて第一主題が始まり、コラール調に進みます。 この部分を意識した演奏を聴けば、単に静かな雰囲気だけで終わってしまうA部には微妙な表情の変化が潜んでいることに気付くでしょう。 A部の最後最後はイ音の連打で停滞するのですが、これは最初に出てくるハ音に呼応しています。 すなわちこの部分は、B部で主要な調性となるニ短調のドミナントを鳴らしているのです。 ショパンの導入部は大きく2パターンあって、一つはドミナント等から主題を開始しすぐ主調を確立させるシンプルもの、もう一つはナポリ6度などから前奏を開始し主調を確立させずファンタジックな雰囲気を強調するものです。 この曲は前者に該当します。 さて、続いて入る第二主題はさながら吹き荒れる暴風雨の様相となります。 しばらくすると暴風が収まって、第一主題が再現します。 最初に登場したときよりも和声的には複雑な展開がされ、徐々に不穏な空気が見えてくると再び嵐の第二主題が現れます。 ここでの第二主題は短縮されており、低音部で鳴らされる雷鳴のようなトリラーをきっかけに怒涛のようなコーダになだれ込みます。 あとは延々と続く嵐なのですが、感情が最高潮に達したところで急に悪夢から覚めたように第一主題が回想され、曲を閉じます。 ショパンの繊細な幻想性と、それとは対照的な激しい気性が見事に対比された一曲です。 第3番 作品47 4曲あるバラードの中でこの曲だけがサロン的な気品と華やかさが全体を支配します。 深刻な曲の多いショパンの大作の中では珍しく開放的な明るさが感じられ、そのため気軽に楽しめる1曲という見方をされてきました。 しかし対位法的手法が全面的に取り入られるなど、1番・2番と比較して作曲技法は高度になっており、円熟期のショパンの充実した書法を堪能できる曲となっています。 第一主題はいかにもサロン的な雰囲気の小粋なメロディですが、リズム的な変化や音域の跳躍などがアクセントとなって、諧謔性も感じさせるものになっています。 ショパンのメロディは息の長いものが多いのですが、バラード3番は短いフレーズが1小節ごとに対話しているような雰囲気になっています。 これが対位法の効果です。 第一主題が静かに終わると、今度は第二主題が始まります。 そのまま展開部に入っていきますが、この部分の作曲技法はまさに秀逸です。 リズムのパターンは第二主題のまま第一主題が短調に変奏されて出てきたり、手の込んだ展開がなされます。 そのまま第二主題を展開して曲が盛り上がっていきます。 最後は第一主題が華麗に演奏され、華やかな雰囲気のまま曲を閉めます。 第4番 作品52 名曲揃いのバラードですがその中でも特に優れており、さらにショパンの全作品中でもとびきりの傑作とされるのがこの第4番です。 構成的には第1番とほとんど同じで、よりソナタ形式に近いものになっています。 すぐには主調をはっきりさせない導入、そして第一主題をじっくりと展開し感情の山を作った後で入ってくる長調の第二主題などが第1番との類似点ですが、作曲上は比べ物にならないほど充実していています。 第1番も傑作には違いないのですが、第4番で聴かれるような深さはそれほど感じられず、むしろ情熱や若さの方が前面に出ているように思います。 この曲の特徴は第一主題の変容です。 実はショパンは変奏の名人なのですが、「変奏曲 Valiation」というタイトルの付く曲はごくわずかで、それも20歳前後の時期にしか作っていません。 そのかわり、いろいろな曲で変奏の手法を用いて、繰り返し出てくるメロディに絶妙な変化を与えています。 有名なノクターン2番(Op. 9-2)でその片鱗が伺えますが、彼の変奏手法はこのバラード4番でピークを迎えます。 第一主題は最初に右手の単音旋律+左手和音伴奏という、大変シンプルな形で提示されます。 二度目に登場するときは、下降音型を中心とする内声部が加わり、シンプルな雰囲気から一転して幻想性が拡大します。 合わせて伴奏部も厚みを増し、提示時とは比較にならないほど音数が増えますが、これに先立つ51小節からの推移で既にポリフォニックな展開が行われており、準備万端でこの展開に入っていく構成が見事です。 三度目に登場した第一主題は、なんとカノンになっています。 二声で始まり、静謐な緊張感を演出してから、声部が増えて充実感のある小終止を迎えます。 この変奏は短く、すぐに次の変奏に入ります。 四度目に登場した主題は、ノクターンでおなじみの幅広い分散和音にのって、メロディを半音的に分解しつつ流麗な進み方となります。 この雰囲気がそのまま最後の第二主題へ引き継がれ感情の高まりを見せ、「大洋のエチュード」の音型の両手アルペジオで激情が頂点に達するとfffの和音でぶっつりと曲は中断します。 一瞬の静寂ののちに入るピアニッシモの和音は、その後の素晴らしいコーダを一層効果的なものにします。 コーダの作曲技巧については真に絶賛に値するところで、ショパンの天分が最大限に発揮されたものでしょう。 最後はまるで舞台の幕を閉じるかのように長大なアルペジオが鍵盤を駆け下り、曲をしめくくります。

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